研究課題/領域番号 |
21K07229
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 兵庫医科大学 (2022) 兵庫医療大学 (2021) |
研究代表者 |
田中 稔之 兵庫医科大学, 薬学部, 教授 (30217054)
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研究分担者 |
大野 喜也 兵庫医科大学, 薬学部, 講師 (40509155)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 癌免疫治療 / IL-18 / 免疫チェックポイント / I型免疫応答 / 腫瘍ネオ抗原 / 免疫関連有害事象 |
研究開始時の研究の概要 |
免疫チェックポイント阻害薬は担癌宿主のT細胞を抑制状態から解放し、強い抗腫瘍効果を発揮する。しかし、その治療効果は未だ限定的であり、抗腫瘍効果の増強と治療抵抗性を克服する戦略の開発が強く望まれる。研究代表者らは、自然免疫を制御するIL-18が免疫チェックポイント阻害薬の抗腫瘍効果を増強することやIL-18との併用治療に対する抵抗性腫瘍にDNA修復欠損とPD-L1欠損を導入すると免疫感受性を附与できることを見出した。本助成事業では、免疫チェックポイント阻害薬によるがん免疫治療に対するIL-18による治療効果の増強と腫瘍ネオ抗原の生成による治療抵抗性の克服を目的とした研究に取り組む。
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研究実績の概要 |
免疫チェックポイント阻害薬は担癌宿主のT細胞を抑制状態から解放して強い抗腫瘍効果を発揮するが、治療効果は未だ限定的である。本研究は、【1】IL-18が誘導する I型免疫応答と免疫チェックポイント阻害薬の抗腫瘍効果の増強機構の解明、【2】DNA修復阻害による腫瘍ネオ抗原の生成と免疫チェックポイント感受性の附与機構の解明、【3】I型免疫応答と腫瘍ネオ抗原を標的とした免疫チェックポイント阻害治療抵抗性の克服を目的としている。 2022年度は、まずIL-18による免疫 チェックポイント阻害薬(ICI)の治療効果の増強機構について解析し、IL-18が樹状細胞とNK細胞に作用して両者のクロストークを促進することを見出した。樹状細胞はその一部にIL-18受容体を発現しており、IL-18刺激によりIL-12mRNAの発現が増加し、血中IL-12濃度が上昇した。一方、NK細胞においては、IL-18投与により樹状細胞の動員に関与するXCL1 mRNA の発現増強が認められた。このIL-18刺激によるNK細胞におけるXCL1 mRNAの発現増強は抗IL-12抗体の投与により阻害された。これらの結果は、IL-18が樹状細胞とNK細胞の両者に作用し、IL-12とXCL1が関与する樹状細胞とNK細胞のクロストークを促進することを示唆している。また、汎用される医薬品のヒト免疫治療への影響を解析するために、兵庫医科大学病院・呼吸器内科で実施された胸部悪性腫瘍(肺癌および悪性胸膜中皮腫)に対する免疫チェックポイント阻害薬治療の治療効果や副作用の発現などに及ぼす併用薬の影響について、後方視的観察研究を開始した。予定症例数を400とし、研究対象者の臨床情報(患者背景・診断時情報・副作用情報・転帰情報・併用薬の使用状況)を収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は、主としてIL-18による免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の治療効果の増強機構について解析し、IL-18が樹状細胞とNK細胞に作用して、IL-12とXCL1が関与する樹状細胞とNK細胞のクロストークを促進する可能性を見出した。また、兵庫医科大学病院・呼吸器内科で実施された胸部悪性腫瘍(肺癌および悪性胸膜中皮腫)に対する免疫チェックポイント阻害薬治療の治療効果や副作用の発現などに及ぼす併用薬の影響について、後方視的観察研究を開始した。予定症例数400として、研究対象者の臨床情報(患者背景・診断時情報・副作用情報・転帰情報・併用薬の使用状況)を収集することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、主としてIL-18による免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の治療効果の増強機構について解析し、IL-18が樹状細胞とNK細胞のクロストークを促進してICIの抗腫瘍効果を増強することを見出した。今後は、IL-18による抗腫瘍効果の増強に関与する宿主因子をさらに追求するとともに、腫瘍細胞の抗原性との関連について解析する。また、DNA修復阻害による腫瘍ネオ抗原の生成に加え、汎用される医薬品が ICIの治療効果に及ぼす影響に関する解析などを通じて、基礎および臨床の両面からICIの抗腫瘍効果の増強と治療抵抗性の克服に資する研究を推進したい。
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