研究課題
基盤研究(C)
Dipeptidyl peptidase(DPP)はタンパク質分解酵素であり、そのファミリーにはDPP4、DPP8そしてDPP9などが属する。我々は、①DPP8とDPP9の両者を阻害する1G244が血液悪性腫瘍に対する抗がん剤活性を有すること、および②その活性はDPP8の阻害を介するカスパーゼ3の活性化が担うことを明らかにした。その後、1G244高感受性の細胞株は、あるtyrosine kinaseを高発現することを見出した。本研究では、このtyrosine kinaseがDPP8を介するアポトーシスシグナルに関与するのか、そして治療効果を予測するバイオマーカーになるのか検証する。
これまでの研究で我々は、①DPP8とDPP9の両者を阻害する1G244が血液悪性腫瘍に対する抗がん剤活性を有すること、および②その活性はDPP8の阻害を介するカスパーゼ3の活性化が担うことを明らかにした。その後、1G244から構造展開してDPP8に特異性を高めた12mが、より優れた抗がん剤活性を有することをin vitroで明らかにした。また、12m高感受性の細胞株はHckを高発現することを見出した。本研究では、12mの毒性と抗がん剤活性をin vivoで検討する。また、HckがDPP8を介するアポトーシスシグナルに関与するのか、そして治療効果を予測するバイオマーカーになるのか検証する。
本研究の第1の目的は、新規DPP8阻害剤を用いた血液悪性腫瘍の治療開発である。副作用が少なく抗がん剤活性の強い新たな分子標的低分子化合物は常に待ち望まれている。DPP8阻害剤は患者の予後改善に大きく寄与する可能性がある。またそれによって大きな恩恵が患者へもたらされるため、社会的な波及効果は大きい。さらに本研究の第2の目的は、DPP8が関与する生命現象のシグナル解明である。DPP8の阻害がアポトーシスを誘導することは研究代表者らが報告したが、それがどのようなシグナルを経由するのかは明らかになっていない。また、これまでそのような着眼点で行われた研究は報告されていないため、学術的な波及効果は大きい。
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Cells
巻: 12 号: 7 ページ: 1100-1100
10.3390/cells12071100
BIO Clinica
巻: 38 ページ: 44-45