研究課題/領域番号 |
21K07243
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
堀岡 宏平 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (10783699)
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研究分担者 |
寅田 信博 九州大学, 大学病院, 臨床検査技師 (00398075)
三好 圭 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (70755272)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 膵癌 / 腫瘍促進性好中球 / 癌関連線維芽細胞 / 腫瘍微小環境 / 癌間質相互作用 / 膵星細胞 / オートファジー / 抗体医薬 / 好中球 / 癌微小環境 |
研究開始時の研究の概要 |
腫瘍微小環境に存在する免疫細胞は癌の進展に深く関与するが、好中球の膵癌腫瘍微小環境中での役割は不明な部分が多い。好中球は活性酸素を介した細胞殺傷効果を示す一方、癌組織では好中球系の細胞が微小環境中の他の細胞との相互作用により腫瘍の増殖・阻害に関与している報告がある。本研究では、膵癌微小環境中に存在する好中球が、微小環境中に豊富に存在する間質の構成要員である膵星細胞からの刺激により癌促進性の好中球に分化するのではないかと仮説を立てた。腫瘍組織中の好中球の機能的特徴、血液中と腫瘍微小環境中の好中球の相違点、さらに腫瘍促進性好中球を抑制するような間質細胞由来の治療標的を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は膵癌間質細胞の特定の集団が、好中球の腫瘍微小環境中での役割、特に腫瘍促進性の好中球への分化に作用しているかを解明することである。 ステップ【1】で、膵癌細胞同所移植マウスの腫瘍中の好中球とマウスの末梢血の好中球を単離し、それぞれをマウスの脾臓から抽出したCD8T細胞と共培養すると、腫瘍中の好中球群において、有意にCD8の細胞障害性マーカーである、GranzymeBやIFN-γが減少し、疲弊化マーカーであるPD-1やTIM3が有意に上昇していた。この結果から、腫瘍中の好中球はCD8+T細胞の機能を抑制していることが示唆された。 ステップ【2】で、ヒト膵腫瘍中の好中球とヒト末梢血中の好中球を用いて、サイトカインアレイを行い、膵癌細胞の増殖や浸潤を進展されるサイトカインを4つ同定した。さらにマウスの腫瘍内の好中球と末梢血の好中球をマイクロアレイ解析し、腫瘍内好中球群において、T細胞の機能に関連することが報告されている遺伝子Aが上昇していることを突き止めた。 当研究室ではシングルセルRNAシーケンシングによる1細胞毎の網羅的遺伝子発現解析の手技を確立しており、消化器癌における癌関連線維芽細胞と骨髄由来の免疫細胞抑制細胞の相互作用分子を同定済みである。今後は膵癌においても、シングルセルRNAシーケンシングによる間質細胞のheterogenityを反映する複数のサブセットから、好中球浸潤の強いモデルに特徴的な集団に着目していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ステップ【1】で、ヒトおよびマウスにおける腫瘍中の好中球と末梢血中の好中球を単離し、好中球の培養上清と膵癌細胞による浸潤能を評価したところ、腫瘍中の好中球の上清において、有意に膵癌細胞の浸潤能を促進させていることを同定したため。 ステップ【2】で、腫瘍中および末梢血の好中球のCD8+T細胞の機能に与える影響を明らかにし、治療ターゲットとなる遺伝子Aをマイクロアレイ解析で同定したため。
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今後の研究の推進方策 |
サイトカインアレイで同定した腫瘍中の好中球が膵癌細胞の増殖能や浸潤能を促進させるサイトカインをknockdownした好中球を作成し、膵癌細胞の増殖能や浸潤能にどのような影響を与えるか評価する。 マイクロアレイ解析で同定した遺伝子Aの抗体を用いて、マウス実験を行い腫瘍の進展や免疫微小環境の変化を評価する。 膵間質細胞との共培養による好中球の機能評価を行い、腫瘍促進性好中球に分化する間質細胞由来メディエーターの同定を進める。
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