研究課題/領域番号 |
21K07249
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
安藤 純 順天堂大学, 医学部, 教授 (60348943)
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研究分担者 |
安藤 美樹 順天堂大学, 医学部, 教授 (10424251)
寺尾 泰久 順天堂大学, 医学部, 教授 (00348997)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 子宮頸がん / キメラ抗原受容体T細胞療法 / B7-H3 / 免疫細胞療法 / iPS細胞由来T細胞 / 難治性子宮頸がん / ヒトパピローマウイルス特異的CTL / iPS細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
子宮頸がんの若年層における罹患数は増加しているが、進行期では根治が望めず極めて予後不良である。近年、キメラ抗原受容体T細胞療法(CART療法)の開発が進んでいるが、子宮頸がんに対する有望なCART療法は未だない。本研究では難治性の子宮頸がんに対し、iPSC技術を用いた有効なCART療法を開発するための基礎研究を行う。最初に子宮頸がんに発現している表面抗原を解析して、良い標的抗原を探索する。その抗原に対するCARを作製してCART療法の有効性を検証する。更にiPSC技術を用いることで、より強く持続的な抗腫瘍効果を発揮できるかどうか詳細な検討を行う。
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研究実績の概要 |
子宮頸がんの原因は、ほぼ100%HPV(ヒューマンパピローマウイルス)が関与しています。HPVの感染予防にはHPVワクチンが有効だが、日本では2013年にワクチン接種副作用のため定期接種の積極的勧奨差し控えとなり、接種率がほぼ0%となった。2022年に定期接種が再開されたが、まだ子宮頸がんの若年層における罹患数は増加している。限局期には手術や放射線治療、化学療法が選択されるが、進行期では根治が望めず極めて予後不良である。近年、腫瘍の免疫回避機構を克服するためにキメラ抗原受容体T細胞療法(CART療法)が開発され、CD19抗原を標的とするCART療法がB細胞性の急性白血病やリンパ腫に臨床応用され成功を収めている。固形がんの抗原をターゲットとしたCART療法も開発は進んでいるが子宮頸がんに対する有望なCART療法は未だない。申請者らは子宮頸がん細胞株に発現する表面抗原を調べたところB7-H3(CD276)が強陽性であることを確認した。本研究では、申請者らが開発してきた技術を更に発展させ、子宮頸がん細胞に発現しているB7-H3を標的とする有効で強力なCART療法の開発を目指すための基礎的検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度はレンチウイルスB7-H3-CARプラスミドを作成し、末梢血単核球にB7-H3-ベクターを遺伝子導入し、末梢血B7-H3-CARTを作製した。細胞傷害性試験(51Cr放出試験)とリアルタイムセルアナライザーを用いて、子宮頸がん細胞株に対する抗腫瘍効果を確認できた。2022年度はHPV特異的CTLより樹立したiPSCにレンチウイルスB7-H3-CARベクターを導入後、分化誘導することによりiPSC由来CARTを分化誘導した。分化誘導したCART細胞は元のCART細胞に比較して子宮頸がんに対して有意に強力な細胞傷害活性を発揮した。
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今後の研究の推進方策 |
CART療法の問題点であるT細胞疲弊による増殖不良、抗原陰性化による再発などの問題点を克服するためにiPSC技術を用いる。末梢血B7-H3-CARTとiPS細胞由来B7-H3-CARTを作製し、抗腫瘍効果など比較検討した結果、iPSC由来B7-H3-CARTの高い細胞傷害活性を証明できた。今後は子宮頸がんだけでなく多くのB7-H3発現腫瘍を標的としてその効果を検討する。
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