研究課題/領域番号 |
21K07257
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分51010:基盤脳科学関連
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研究機関 | 藤田医科大学 (2022) 生理学研究所 (2021) |
研究代表者 |
佐野 裕美 藤田医科大学, 精神・神経病態解明センター, 准教授 (00363755)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 大脳基底核 / 随意運動 / 線条体 / パーキンソン病 / 視床 |
研究開始時の研究の概要 |
大脳基底核の直接路と間接路を介する神経伝達がどのように視床へ伝わり運動を制御しているのかを解明するため、以下のことを明らかにする。 (1)光遺伝学を用いた直接路あるいは間接路の興奮により、視床の神経活動がどのように変化するのかをマウス個体から記録する。 (2)パーキンソン病モデル動物において直接路あるいは間接路の興奮を誘導し、視床の神経活動を記録する。 (3)光遺伝学を用いて視床ニューロンを興奮あるいは抑制させたとき、直接路や間接路の作用と同じように、運動の開始や促進、あるいは終了や抑制が引き起こされるのかどうかを検証する。
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研究実績の概要 |
大脳基底核は複数の神経核から成る脳領域であり、随意運動の制御に重要な役割を果たしている。線条体は大脳基底核を構成する脳領域の一つであり、ドパミンD1受容体あるいはD2受容体を発現するGABA作動性の二種類の投射ニューロンが存在する。一つは黒質網様部へ投射する線条体黒質投射ニューロン(直接路)であり、もう一つは淡蒼球外節、視床下核を介して黒質網様部へ投射する線条体-淡蒼球投射ニューロン(間接路)である。黒質網様部は直接路と間接路からの情報を受け取り、視床へとその情報を送る。これまでの研究から直接路は黒質網様部に対して抑制を引き起こし、間接路は黒質網様部に対して遅い興奮を引き起こすと考えられてきた。今年度は間接路を介する情報が黒質路や視床にどのように伝わるのかを解明するため、線条体-淡蒼球投射ニューロン(間接路)に光駆動性イオンチャネルであるチャネルロドプシン(channelrhodopsin-2, ChR2)を発現する遺伝子組換えマウスを利用して実験を行った。 線条体-淡蒼球投射ニューロンの興奮を誘導するため線条体に微小光ファイバーを刺入し、黒質網様部あるいは視床に記録電極を刺入し、線条体の光刺激に対する応答を細胞外単一ユニット記録により記録した。光刺激に対して黒質網様部では興奮が認められ、視床では弱いが抑制が認められた。さらに、この遺伝子組換えマウスの脳内に薬剤を注入することによりパーキンソン病モデルマウスを作製し、同様の実験を行った。黒質網様部では光刺激に対して興奮が認められ、視床でも弱いものの抑制が認められた。この黒質網様部での興奮や視床での抑制は間接路を介するものであると考えられ、正常マウスとパーキンソン病モデルマウスでの応答に違いがあるのかどうか、詳細な比較解析を行う必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年4月に研究機関を異動したため、実験機材の移動や実験機材のセットアップに時間を要した。そのため、当初は実験計画より2ヶ月程度の遅れが生じた。しかし、異動前と同じように実験が可能な環境を整えることができた後は、研究計画に沿ってパーキンソン病モデルマウスにおいて間接路を興奮させてたときの応答を黒質網様部や視床で記録することが出来るようになっている。今では研究課題の進捗の遅れも解消されつつある。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に従い、使用する遺伝子組換えマウスの脳内に薬剤を注入してパーキンソン病モデルマウスを作製し、線条体-淡蒼球投射ニューロン(間接路)の興奮がどのように黒質網様部や視床に伝わるのかを解析する。正常マウスの応答との違いを、応答の潜時や持続時間などの比較解析から明らかにする。 さらに、間接路を興奮させたとき、パーキンソン病モデルマウスに特徴的な運動異常が改善あるいは増悪するのかを行動学的に観察する。
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