研究課題/領域番号 |
21K07264
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分51020:認知脳科学関連
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
倉重 宏樹 東海大学, 情報通信学部, 講師 (80513689)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 脳 / スキーマ / 学習 / 記憶 / fMRI / ヒト / EEG |
研究開始時の研究の概要 |
人の持つ組織化された知識枠組みをスキーマと呼ぶ.スキーマの顕著な特質は学習・思考を通じ適応的に変化することにある.これにより人の持つ知識は柔軟に成長できるのである.スキーマの適応には,既存スキーマを大きく変えずに新しい情報を受け容れるスキーマ同化と,既存スキーマの構造自体を再編成して行うスキーマ調節がある.スキーマ同化の神経機構は比較的分かっているが,スキーマ調節についてはほとんど分かっていない.そこで本研究は,脳活動計測を通じてスキーマ調節の検討を可能にする実験パラダイムを開発し,それによりその脳基盤を解明する.
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研究実績の概要 |
スキーマは人の有する構造化された知識のフレームワークであり,人は自身がすでに有しているスキーマに従って認識や思考や行動,さらには新たな知識の獲得を行う.とくに,人は既存のスキーマと相容れない情報に出会ったとき,場合によって,その情報を取り込むためにスキーマを再編成する必要がある.このような現象はスキーマ調節と呼ばれる.スキーマ調節の神経メカニズムを特定するためには,既存スキーマの再編成を十分に起こす必要がある.この目的のために,前年度までに逆転論述課題と名付けたパラダイムを開発し,その確率を行った.今年度はそれを用いたfMRI実験を行い,これを完遂した. 既存スキーマに再編成が起こった試行と起こらなかった試行を比較したところ,前者の試行において,左中前頭回と左下頭頂小葉からなる左実行制御ネットワークと左上前頭回で大きな応答が見られた.加えて,これらの領域と左右の外側後頭皮質の間に有意なPsychophysiological interactionが観察された.これらの部位は認知制御や注意などの熟考的処理に関与していると考えられている.また,上述した左下頭頂小葉の活動部位は縁上回と角回を含んでいたが,角回は記憶の更新そのものに関わることが示唆されている部位である. 対照的に,スキーマに再編成が起こらなかった試行では,腹内側前頭前皮質がより高い活動を示した.腹内側前頭前皮質は既存スキーマに整合な情報の促進的同化に関与しており,またこの部位の活動はしばしば実行制御ネットワークの活動と負相関する.したがって,これらの結果は,実行制御ネットワーク-デフォルトモードネットワーク間の競合的活動に対応する「スキーマ調節-同化軸」の存在を示唆する.
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