研究課題/領域番号 |
21K07265
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分51020:認知脳科学関連
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
高田 美絵子 (森島美絵子) 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (30435531)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 腕傍核 / 扁桃体 / 神経回路 / 視床下部腹内側核 / 情動 / フィードバック抑制 / 逃避 / 攻撃 |
研究開始時の研究の概要 |
視床下部腹内側核は、攻撃か逃避か、という言葉にあるような行動に関わる機能を持つことが知られ、腕傍核は視床下部腹内側核に軸索投射し、ストレスや脅威の環境下で生命維持に必要な情報処理を行う。一方で、腕傍核は扁桃体にも軸索を投射し、嫌悪等の情動制御を行うことが知られている。そこで腕傍核を中心とした視床下部腹内側核および扁桃体の神経回路ネットワークが逃避か攻撃かのスイッチングに関わるのはないかと仮説を立て、逃避行動と攻撃行動のスイッチングに関する研究を行う。
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研究実績の概要 |
「逃避か攻撃かを選ぶスイッチングに関わる神経回路の解明」を研究課題として、視床下部腹内側核(ventromedial hypothalamic nucleus; VMH) に投射する腕傍核(Parabrachial nuclei; PB) 神経細胞を中心とした神経回路に着目し、逃避/攻撃行動のスイッチングに関わる情報処理システムについて明らかにすることを目指している。視床下部腹内側核は摂食に関わり、満腹中枢としても知られていたが、攻撃か逃避か、という言葉にあるような情動に関わることが知られている。腕傍核から視床下部腹内側核へは軸索を介してストレスや脅威の環境下で生命維持に必要な情報が送られている。一方で、腕傍核は扁桃体中心核にも軸索を投射し、嫌悪等の情動に関与した情報を送ることが知られている。また、扁桃体中心核は、恐怖行動だけでなく、様々な情動に関わることが知られ、腕傍核に軸索を送っている。この3つの核が組み合わされた神経回路ネットワークが逃避か攻撃かのスイッチングに関わるのはないかと仮説を立てた。本年度は、特に、扁桃体中心核と腕傍核間の神経回路について着目した。腕傍核に投射する扁桃体の領域、細胞タイプについて、解剖学的に調べた。この結果、これまで言われていた腕傍核への軸索投射は、扁桃体中心核の出力部だけでなく、腕傍核から入力を受ける中心核外側部からも出力していることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
視床下部腹内側核に軸索を投射する腕傍核神経細胞の細胞タイプについて明らかにするために、逆行性トレーサー等を用いて、その局在、電気生理的性質について調べた。視床下部腹内側核に軸索を投射する腕傍核神経細胞を標識したマウスから生きた脳スライス標本を作成し、パッチクランプ法を用いて細胞内記録し、電気的性質を調べた。その結果、大きく特性の異なる複数種の神経細胞が記録できた。また、2細胞同時パッチランプも行った。さらに、腕傍核へ扁桃体から入力する細胞群について明らかにするために、腕傍核と扁桃体流心核の注入部位の条件検討を行い、逆行性色素と、順行性AAVウイルスを用いた解剖学的実験を行った。特に、腕傍核へ投射する扁桃体の神経細胞は、これまで報告された細胞群と異なるという結果が得られ、細胞群について免疫染色法を用いて調べていたが、Wang.et al., 2023で、Pdynを発現する細胞群であることが報告された。このため、局在パターンを解剖学的に明らかにする方向性研究を行った。扁桃体中心核における腕傍核へ投射する細胞群の局在パターンを調べたところ、中心核外側部からも出力することが明らかになった。この結果をもとにさらなる細胞レベルでの神経回路の情報処理システムの解明につなげていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
腕傍核は多岐にわたる恒常性維持や情動に関わる多次元の情報が集まる核であり、例えば、腕傍核から視床下部腹内側核への投射線維を光遺伝学的に刺激すると逃避行動につながることが報告され、また、扁桃体中心核は、嫌悪等の情動制御を行うことが知られている。しかしながら、腕傍核内での細胞レベルでの情報処理システムについてはほとんどわかっていない。このため、扁桃体中心核からの入力と腕傍核から視床下部腹内側核に投射する神経細胞を組み合わせた神経回路を明らかにすることが重要である。今年度は、腕傍核内でどのような回路を構成しているかを明らかにするために、2細胞同時パッチクランプ法と光遺伝学的手法を組み合わせて実験していく予定である。2細胞同時パッチクランプ法を組み合わせることで、より回路的な観点から研究を進めることができる。さらに行動実験を組み合わせることで、逃避か攻撃かを選ぶスイッチングに関わる神経回路を細胞レベルでの神経回路の情報処理システムの一端を明らかにできるのではないかと考えられる。
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