研究課題/領域番号 |
21K07275
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分51030:病態神経科学関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
藤田 和歌子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (30382328)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | Opioid / RTP4 / hyperalgesia / tolerance / オピオイド誘発痛覚過敏 / TNFalpha / 後根神経節(DRG) / リポポリサッカライド / ミクログリア / オピオイド受容体 / ヘテロ二量体 / 疼痛制御 / 知覚神経 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、2 種類のオピオイド受容体からなる MOPr-DOPr ヘテロ二量体とその制御分子 RTP4 の、難治性疼痛に対する新しい治療標的としての役割を解明することを、最終目標としている。「知覚神経の損傷に伴うインターフェロンの産生等によって、知覚神経細胞内では受容体シャペロン分子 RTP4 を介したMOPr-DOPr ヘテロ二量体の誘導が促され、疼痛を抑制できる」という仮説を、細胞生物学、行動薬理学的解析から検証する。これらの分子の作用解明が、新規かつ安全な治療薬開発に寄与する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、2 種類のオピオイド受容体からなる MOPr-DOPr ヘテロ二量体とその制御分子 RTP4 の、難治性疼痛に対する新しい治療標的としての役割を解明することである。慢性疼痛病態における MOPr-DOPr ヘテロ二量体の生体内制御機構を、その制御分子 RTP4 の役割と関連付ける。「知覚神経の損傷に伴うインターフェロンの産生等によって、知覚神経細胞内では受容体シャペロン分子 RTP4 を介したMOPr-DOPr ヘテロ二量体の誘導が促され、疼痛を抑制できる」という仮説を、細胞生物学、行動薬理学的解析から検証する。これらの分子の作用解明が、新規かつ安全な治療薬開発に寄与する。 本年度は、昨年度に引き続き、慢性神経障害性疼痛モデル動物の DRG 細胞における RTP4 や MOPr-DOPr ヘテロ二量体の発現変化の解析に取り組んだ。令和4年中に確立した In vivo 疼痛モデル動物としてオピオイド誘発性痛覚過敏モデルを用い、解析を行なった。特に雌雄差について解析したところ、雌性マウスではモルヒネの10日間慢性投与により痛覚閾値の低下が観察されたが、雄性マウスでは認められなかった。一方、モルヒネの鎮痛効果に対する減弱作用(鎮痛耐性形成)は、雌雄ともに認められた。 13日目に組織を摘出し、脊髄および 後根神経節(DRG) における RTP4 遺伝子発現変化を解析したところ、いずれにも有意差は認められなかった。さらに炎症性サイトカインのうち IL1beta の上昇傾向と TNF alpha の増加傾向は雌性マウスにのみ認められ、雄性マウスには確認されなかった。IFN類には、変化は認められなかった。これらの実験結果から、モルヒネ慢性投与に伴う痛覚過敏には雌雄差があることが示唆された。これらの遺伝子発現解析の再現性の確認および例数追加が求められる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年 11月から 2022年 4月まで産休を取得した期間(研究中断は行っていない)の研究遅延が引き続き影響している。また、令和4年度中に作製した疼痛モデルの評価において、再現性の確認に時間がかかり、例数の追加が十分にできなかった。加えて、当該モデルの DRG や脊髄において RTP4 の有意な変化が観察されておらず、RTP4 の役割の解析に到達しなかった。当該疼痛モデルマウスにおける行動解析や遺伝子発現解析について、引き続き検証し今後の研究展開戦略を検討したい。
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今後の研究の推進方策 |
行動解析後にすでに摘出している組織サンプルが残されているので、疼痛モデル動物における各種遺伝子発現解析を進め、再現性を観察する。また、行動解析では、治療薬としての CYM51010 の効果について解析する。遺伝子発現解析については、研究展開をより進めるため、In vivo モデルに加えて In vitro モデルの作製も検討する。特に、本研究課題で着目している分子である RTP4 の遺伝子発現変化の認められる炎症性刺激等を用いた In vitro モデルの作製を試み解析を進める。
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