研究課題/領域番号 |
21K07282
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分51030:病態神経科学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
下 泰司 順天堂大学, 医学部, 教授 (70286714)
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研究分担者 |
中島 明日香 順天堂大学, 医学部, 准教授 (40812459)
岩室 宏一 順天堂大学, 医学部, 准教授 (80384775)
奥住 文美 順天堂大学, 医学部, 准教授 (90826075)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 視床下核 / 淡蒼球 / αシヌクレイン / パーキンソン病 / ニューロモデュレーション / 脳深部刺激療法尾 |
研究開始時の研究の概要 |
神経変性疾患の多くは進行性の病気である。その中でもパーキンソン病は、アルツハイマー病に次いで頻度の高い病気であるが、これまでに病気の進行抑制効果を示した治療方法は未だに存在しない。脳深部刺激療法は進行期パーキンソン病で行われる外科的治療方法であり、すでに本邦で9000例以上の症例に行われている。近年この治療法の疾患修飾作用効果(病気の進行抑制効果)を示唆する結果が発表されている。本研究では基礎実験によって、本効果の有無を検討する。
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研究実績の概要 |
前年度の結果から、視床下核(STN)の破壊によってαシヌクレイン(αsyn)の脳内伝播が抑制されることが明らかになったため、本年度は、パーキンソン病(PD) におけるもう一つのニューロモデュレーションのターゲットとなり得る淡蒼球内節(GPi,げっ歯類ではEntopeduncular nucleus: EPに相当) を破壊することによるαsyn伝播に対する影響を調べた。C57BL/6マウスを用い、定位的に片側線条体にα-syn preformed fibrils (PFF) を定位的に注入し、その24時間後にEPをイボテン酸(0.01 mg/ml, 2 micro L)で破壊し、αsynの広がりを観察した(n=3)。コントロール群ではEPに同量の生理食塩水を注入した(n=3)。パラフィン切片を作成後、抗リン酸化シヌクレイン抗体(pSyn#64)を用いて免疫組織学的染色を行い、α-synの線条体、黒質、皮質への広がりを連続切片を用いて定量的に計測した。その結果、コントロール群とEP破壊群では、αsynの線条体、黒質及び皮質への発現量に差を認めなかった。前年度までの結果を考慮すると、ニューロデュレーション治療によって、GPiではなく、STNの機能を低下させることによってαsyn伝播の抑制可能性が可能であることを示唆する所見であった。これまでの我々の研究ではαsynは、神経細胞活動依存的に伝播をすることを示した。脳深部刺激療法(DBS)は、高頻度の電流を流すことにより、刺激部位の電気的な活動の抑制が生じ、PD症状の改善をもたらすと考えられている。本研究の結果から、STNの神経細胞活動を抑制させることができるSTNDBSはPDにおける疾患修飾作用のある治療方法であることが示唆される。
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