研究課題/領域番号 |
21K07283
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分51030:病態神経科学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
李 元哲 順天堂大学, 大学院医学研究科, 特任助教 (40549292)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | パーキンソン病 / GBA遺伝子 / 次世代シークエンサー / 神経変性疾患 / 次世代シーケンサー |
研究開始時の研究の概要 |
パーキンソン病(PD)は、無動症・静止時振戦・筋固縮・姿勢反射障害などの臨床症状を呈する罹患率の高い神経難病である。PDの多くは孤発型(SPD)であるが、約10%に家族性パーキンソン病(FPD)が存在する。現在FPDでは23の原因遺伝子及び遺伝子座が同定されており、その遺伝子の機能解析は,発症機序解明の有力な手がかりとなっている。本研究では効率的かつ低コストの解析方法を確立し、パーキンソン病関連遺伝子の網羅的な解析によりPDの遺伝的リスク因子を探索する。
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研究実績の概要 |
パーキンソン病(PD)は、無動症・静止時振戦・筋固縮・姿勢反射障害などの臨床症状を呈する罹患率の高い神経難病である。PDの多くは孤発型(SPD)であるが、約10%に家族性パーキンソン病(FPD)が存在する。現在FPDでは24の原因遺伝子及び遺伝子座が同定されており、その遺伝子の機能解析はPD発症機序解明の有力な手がかりとなっている。従来のサンガー法によるこれらの遺伝子解析は、高価で解析に多くの時間を要するのが現状であるが、本研究ではより効率的かつ低コストの解析方法を確立し、PD関連遺伝子の網羅的な解析を行っている。しかしながら広く知られているPD発症リスクになるGBA遺伝子変異はGBA遺伝子と相同性(96%)が高い偽遺伝子(pseudogene)の存在により解析が困難であった。GBAは、リソソームに局在する酵素(グルコセレブロシダーゼ)をコードし、常染色体劣性遺伝性疾患のゴーシェ病の原因遺伝子である。ゴーシェ病家系においてヘテロ接合体の変異を持っている家族の一部でPDが発症する事が以前から報告されており、PDとの関連性が疑われた。PCRによるGBA遺伝子を特異的に増幅するためには偽遺伝子と区別し特異的な配列を選択する必要がある。しかしショートリードを解読する次世代シークエンサーではこのような特異的な配列を選択し設計するのが困難である。本研究ではパネル解析データをバイオインフォマティクス解析により検証し、次世代シークエンサーによるGBA遺伝子解析法を確立した。本研究で得られた成果によりPD診療などにゲノム情報を役立てるプレシジョン・メディシンを実現することが可能となると同時に、PD関連遺伝子とPD表現型との新しい関連が明らかになることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Ion AmpliSeqカスタムパネルを設計し、次世代シークエンサーIon Torrentシステムを用いてパーキンソン病1003症例を対象に遺伝子解析を実施した。結果、On Target Rate (=目的遺伝子の全配列に対する解読率)99%以上、Mean Depth (=1塩基あたりの平均解読数)が300以上の良好なデータが得られた。従来のバリアントコール解析とアンプリコンリード数解析による定量解析を組み合わせることで133例においてヘテロ接合体のGBA変異が検知された。これらの変異はすべてサンガー法で再現性が確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度に解析症例をさらに300例増やしPD関連遺伝子解析のデータを蓄積する。
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