研究課題/領域番号 |
21K07285
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分51030:病態神経科学関連
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研究機関 | 同志社大学 (2022-2023) 東京女子医科大学 (2021) |
研究代表者 |
尾崎 弘展 同志社大学, 研究開発推進機構, 准教授 (30747697)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 運動 / 痛み / 運動野 / 体性感覚野 / 痛覚 / 大脳皮質 |
研究開始時の研究の概要 |
痛みは脳内の神経活動で生み出され、様々な領域の神経活動により増強・減弱されうる。大脳皮質運動野の活動は、従来から「痛み」に影響することが知られており、様々な刺激療法が慢性疼痛等の治療に行われてきた。しかし、大脳皮質運動野の活動が脳内のどの部位の活動をどのように制御し、鎮痛効果をもたらすのか十分分かっていない。そこで本研究では、大脳皮質運動野と体性感覚野との相互ネットワークに着目し、「痛みの感覚成分」である痛覚が運動野の神経活動によってどのように修飾されているのかを電気生理学的手法および行動実験により調べ、さらに、神経因性疼痛・慢性疼痛治療に対する効果的な運動野刺激方法を開発することを目指す。
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研究成果の概要 |
痛みの感覚成分である痛覚は、大脳皮質一次体性感覚野内の、触覚とは異なる領域で主に処理されている。げっ歯類マウスにおいて、触覚は大脳皮質第4層である顆粒細胞層が発達したgranular領域で処理されるが、痛覚はその隣に位置し第4層の厚みが減少するdysgranular領域で処理されること、dysgranular領域は痛覚に基づく逃避行動の誘発に重要な役割を担っていることを報告した。さらに運動情報との相互作用を調べるため、運動時の大脳皮質の活動を広範囲で観察できるカルシウムイメージングシステムを構築し、運動野・体性感覚野の活動を運動中に観察し、運動関連の神経活動を捉えることにも成功した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
痛みは身体に生じた損傷等を知らせるシグナルの役割を担っている。しかし、痛みは脳内の様々な領域で処理され、各領域において修飾され、痛みとして表出するため、痛みの程度は損傷の程度と必ずしも一致しない。本研究では、痛みが体性感覚野のどの部位で選択的に処理され、逃避行動の誘発に関与するのかを示し、さらに運動による除痛効果の解明に不可欠な新たな行動観察システムを構築し実用化した。本システムを用いて、運動中の神経活動を広範囲に観察可能となったことにより、痛みが運動中にどのように修飾されうるのかを詳細に観察でき、今後、運動と痛みの関連の解明に役立つことが期待される。
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