研究課題/領域番号 |
21K07289
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分51030:病態神経科学関連
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研究機関 | 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所 |
研究代表者 |
鈴木 康予 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所, 遺伝子医療研究部, 主任研究員 (60416188)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | モワット・ウィルソン症候群 / ZEB2 / 発達障害 / 先天異常症候群 / トランスクリプトーム / Mowat-Wilson症候群 / てんかん / 小頭症 / Mowat-Wilson症候群(MOWS) / 知的障害 |
研究開始時の研究の概要 |
モワット・ウィルソン症候群(MOWS)は、知的障害、特徴的な顔貌、小頭症を主徴とする先天異常症候群である。遺伝子医療研究部では、2001年にMOWSの原因遺伝子ZEB2を同定した。しかし、MOWSの発症メカニズムは未解明のままである。我々は、これまでの研究結果をもとに、「MOWSはシナプス可塑性に異常をきたし知的障害を発症する」と仮説を立てた。本研究では、ZEB2の発現調節機構を明らかにするとともに、ZEB2の機能喪失型変異がシナプス形成に及ぼす影響を解析する。
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研究実績の概要 |
モワット・ウィルソン症候群は、知的障害、特徴的な顔貌、小頭症を主徴とする先天異常症候群である。我々は、2001年にモワット・ウィルソン症候群の原因遺伝子ZEB2 (Zinc finger E-box binding homeobox 2)を同定した。しかし、モワット・ウィルソン症候群の発症メカニズムは未解明のままであり、現状では治療の手立てがなく、その解明は急務である。ZEB2の機能喪失型変異によって起こる神経細胞内の変化を明らかにするため、今年度は昨年度に引き続き、モワット・ウィルソン症候群の疾患モデルとしてゲノム編集技術を用いてZEB2を欠失させたヒト神経芽細胞腫由来SH-SY5Y細胞のRNA-seqデータの解析を行った。遺伝子発現プロファイルの解析からモデル細胞で発現が変動する可能性が認められたシナプス形成に関連する22遺伝子について、定量PCRによって発現量の測定を行った結果、野生型ZEB2の発現量低下に相関して1つの遺伝子に発現亢進、5つの遺伝子に発現低下が確認された。これらの遺伝子の発現制御にZEB2がどのように関与するのかを明らかにするため、Zeb2にHA-tag配列を接続してタグ融合タンパク質として発現させるように設計したノックインマウスを作出し、その脳を用いてChIP assayを行った。その結果、野生型ZEB2の発現量低下に相関して発現変動する6つのシナプス関連遺伝子は、ZEB2が直接制御する可能性は低いことが明らかになった。モデル細胞で発現低下の認められた遺伝子群は、レスキュー実験を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ゲノム編集技術によって作製したモワット・ウィルソン症候群の疾患モデル細胞を用いて実施したRNA-seqデータと定量PCRを行い、野生型ZEB2の発現量低下に相関して発現変動するシナプス関連遺伝子群を同定することができた。これらの中にはシナプス形成制御に関与すると報告のある遺伝子もあり、モワット・ウィルソン症候群の発症にシナプス形成異常が関与する可能性を示唆するデータが得られた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、すでに開始しているモワット・ウィルソン症候群の疾患モデル細胞で発現低下の認められた遺伝子群のレスキュー実験を継続して行い、モワット・ウィルソン症候群の発症機序の解明を目指す。
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