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脳梗塞からの機能回復過程における時間的・空間的な病態の遷移プロセスの解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K07290
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分51030:病態神経科学関連
研究機関新潟大学

研究代表者

佐藤 時春  新潟大学, 脳研究所, 助教 (40542387)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
キーワード回路再編 / 皮質脊髄路 / 脳梗塞 / 神経回路 / 再編
研究開始時の研究の概要

脳障害は神経回路機能の破綻を引き起こす。限定的ではあるものの、再編により代償性の回路が形成され、一定の機能回復を示す。しかしながら、病態を回復させるプロセスがどのような作用機序で制御されているかわかっていない。
本研究では、運動機能をになう皮質脊髄路を対象に、神経-グリアの遺伝子の発現パターンおよび細胞形態を損傷後の時間および空間軸に沿って詳細に解析し、回路の再建と機能の回復へと病態の遷移をもたらす動作原理の全容を理解することを目的とする。

研究実績の概要

本研究は、脳梗塞後に起こる遺伝子発現の変化を、脊髄の細胞種別に時空間軸に沿って解析し、再編を誘導する鍵となる分子の同定、およびその作用機序を明らかにすることを目的とする。脳や脊髄が損傷をうけると神経回路は破壊され、機能不全の病態を示す。しかし、一部で代償性の回路が作りだされる再編により、病態を回復させることが近年わかってきた。再編の過程では、グリア細胞による修復、軸索の発芽と伸長、シナプス形成の一連の現象が起こり、回路が再形成される。しかしながら、再編を促す根幹となる分子群やそのメカニズムは依然不明であり、これらが、いつどのように発現し、どの細胞・回路で機能するかという時間的・空間的な作用機序もわかっていない。申請者らは、梗塞後の脊髄におけるニューロン、アストロサイトおよびミクログリアに特異的な遺伝子の網羅的・経時的な発現パターンを示すデータベースを構築し、障害後から恒常的に発現上昇する分泌性因子を見出した。また、神経初代培養系を用いたスクリーニングにより、神経突起伸長を促進する複数の候補因子を同定した。本年度は、まずこの分泌性因子の経時的な発現量の変化と発現分布を明らかにした。次にこの分泌性因子が活性化する細胞内シグナル経路を見出した。さらにこれら分泌性因子が皮質脊髄路の再編を促すかどうか明らかにすするため、脳梗塞モデルマウスにおいて遺伝子の発現を操作する実験系を確立した。現在、これら因子が再編に寄与するかどうか明らかにする実験を進めており、得られた成果は、脳梗塞後の病態を回復へとシフトする分子基盤の理解へ貢献すると期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では、運動機能をになう皮質脊髄路を対象に、脳梗塞後の脊髄における遺伝子発現を神経-グリアの細胞種別に時間軸・空間軸に沿って解析し発現操作することで、回路の再建と機能の回復へと病態の遷移をもたらす時空間的な動作原理の全容を理解することを目的としている。本年度は、脳梗塞モデルマウスにおける皮質脊髄路の再編を促す候補因子の発現分布と作用機序について明らかにすることができた。さらに、候補因子が再編を誘導するか解析するための手法も確立しつつある。以上のことから、脳梗塞後の回路再編を促す神経基盤の理解へ向け、研究はおおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

今後の研究では、候補因子は、軸索の再編や標的ニューロンとのシナプス形成に関わるかどうかを組織学的、生理学的な解析により明らかにする。また、脳梗塞後に候補因子の発現を誘導する分子メカニズムを探索する。次に、ニューロン、アストロサイトおよびミクログリア特異的な遺伝子発現データベースより得られた、他の候補因子が回路再編に関わるかどうか評価する。そのため、脳梗塞モデルマウスにおいて遺伝子の発現を操作し、再編パターン、回路の構造を解析し、機能回復への寄与を明らかにしていく。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (9件)

すべて 2023 2022 2021

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] TDP-43 differentially propagates to induce antero- and retrograde degeneration in the corticospinal circuits in mouse focal ALS models2023

    • 著者名/発表者名
      Tsuboguchi Shintaro、Nakamura Yuka、Ishihara Tomohiko、Kato Taisuke、Sato Tokiharu、Koyama Akihide、Mori Hideki、Koike Yuka、Onodera Osamu、Ueno Masaki
    • 雑誌名

      Acta Neuropathologica

      巻: 146 号: 4 ページ: 611-629

    • DOI

      10.1007/s00401-023-02615-8

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Cerebrospinal fluid-contacting neuron tracing reveals structural and functional connectivity for locomotion in the mouse spinal cord2023

    • 著者名/発表者名
      Nakamura Yuka、Kurabe Miyuki、Matsumoto Mami、Sato Tokiharu、Miyashita Satoshi、Hoshina Kana、Kamiya Yoshinori、Tainaka Kazuki、Matsuzawa Hitoshi、Ohno Nobuhiko、Ueno Masaki
    • 雑誌名

      eLife

      巻: 12 ページ: 1-31

    • DOI

      10.7554/elife.83108

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書 2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 脳・脊髄障害後の神経回路再編の可視化2022

    • 著者名/発表者名
      佐藤時春 , 上野将紀
    • 雑誌名

      Clinical Neuroscience

      巻: 40 ページ: 746-9

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] Lesion area in the cerebral cortex determines the patterns of axon rewiring of motor and sensory corticospinal tracts after stroke.2021

    • 著者名/発表者名
      Sato T, Nakamura Y, Takeda A, Ueno M.
    • 雑誌名

      Front Neurosci

      巻: 15 ページ: 737034-737034

    • DOI

      10.3389/fnins.2021.737034

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 脳梗塞後の機能回復をもたらす神経基盤と分子機序の解明2023

    • 著者名/発表者名
      佐藤時春、上野将紀
    • 学会等名
      第2回GTPハッカソン
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 脳梗塞後の運動機能回復に寄与する皮質脊髄路の再編と接続様式2023

    • 著者名/発表者名
      佐藤時春、中村由香、松澤等、上野将紀
    • 学会等名
      第46回日本神経科学大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Rewiring pattern and molecular properties of the corticospinal circuit after stroke.2023

    • 著者名/発表者名
      Sato T, Nakamura Y, Ueno M
    • 学会等名
      IRCN-iPlasticity International Symposium
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Poststroke reorganization of the corticospinal circuit2021

    • 著者名/発表者名
      Tokiharu Sato, Yuka Nakamura, Masaki Ueno
    • 学会等名
      第44回日本神経科学大会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] The patterns of axon rewiring of multiple corticospinal tract pathways after stroke in different cortical areas2021

    • 著者名/発表者名
      Tokiharu Sato, Yuka Nakamura, Masaki Ueno
    • 学会等名
      SfN 2021
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 国際学会

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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