研究課題/領域番号 |
21K07304
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分51030:病態神経科学関連
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研究機関 | 長浜バイオ大学 |
研究代表者 |
獅子王 信江 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 助教 (50420401)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 神経再生 / 遺伝子改変マウス / 脂質 / コレステロール / 末梢神経 |
研究開始時の研究の概要 |
末梢神経では損傷を受けても軸索が再構築され神経機能が再生されることが知られている。この末梢神経再生には脂質の量的増加および膜流動性の変化が必然的に伴うが、脂質量制御機構についてはほとんど明らかになっていない。研究代表者は、細胞膜からコレステロールを排出するATP-binding cassette transporter A1 (ABCA1)遺伝子の発現が神経損傷後に上昇することを発見し、本研究において損傷神経特異的にABCA1の発現を抑制したマウスを解析することで、神経再生時におけるABCA1の機能を明らかにし、さらに神経再生におけるコレステロール量制御の重要性について検証する。
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研究実績の概要 |
末梢神経は挫滅後、損傷部位から新たに軸索伸長が始まり、神経機能が回復する。この末梢神経再生には脂質の量的増加および膜流動性の変化が必然的に伴う が、脂質量制御機構についてはほとんど明らかになっていない。神経損傷後の神経核において、細胞膜のコレステロールを排出するATP-binding cassette transporter A1 (ABCA1)の著しく発現上昇することを発見し、本研究では再生神経におけるABCA1遺伝子の機能を明らかにすることを目的とした。本研究では、神経が損傷したニューロンでのみAbca1遺伝子が欠損し発現が抑制されるコンディショナルマ ウス(Abca1 CKO)を作製し、令和3年度において神経切断、神経挫滅ともにABCA1のmRNA及びタンパク質の発現量低下の確認、 損傷後の坐骨神経から後根神経節を取り出し初代培養をしたところ、Abca1 CKOマウスではコントロールマウスよりも神経突起の分枝の増加を観察した。令和4年度においては、軸索の分枝に影響を与えているかどうかをin vivoにおいて確認した。舌下神経損傷モデルを用いて、Abca1 CKOマウスとコントロールマウスの舌における神経到達時間を比較したが、差は得られなかった。次に、坐骨神経を損傷後に摘出し、神経繊維の新調具合を組織免疫染色にて比較した。ニューロフィラメントMの伸長には両者に有意な差は観察されなかった。さらに、運動機能の回復をfoot print法にて解析したが、有意な差は見られなかった。よって、神経損傷時にAbca1の発現低下は再生する神経軸索の伸長に複雑さを与えるものの、明らかな生体内での影響は見られないという結果になった。神経再生時におけるABCA1の発現低下が神経突起の複雑さを増すことがわかったので、これについて論文発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生体でのノックアウトマウスとコントロールマウスに有意な差は得られなかったが、調べたいことは実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
in vivoでのABCA1の重要性を探りたいと考えており、高脂質飼料を与えたFat miceでの解析を追加することにした。方法は、飼育時に高脂質飼料を与えて生育させ、同じ手法で神経損傷を実施する。また、計画通りにプラバプラスチンナトリウム(HMG-CoA 還元阻害剤)の投与で、摘出した神経細胞において神経突起の分枝増加が抑えられるかどうかを調べる。しかし、プラバスタチンナトリウム投与実験で調べる実験が、in vitroの神経初代培養における神経突起の観察だけになるので、これに加えて、神経系培養細胞にABCA1を強発現した時に細胞形態が変化するかどうかを調べ、ABCA1の神経細胞における機能を追求していく。
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