研究課題/領域番号 |
21K07306
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分51030:病態神経科学関連
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研究機関 | 神戸薬科大学 |
研究代表者 |
長谷川 潤 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (10332230)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 卵巣ホルモン / 脳梗塞 / エストラジオール / プロゲステロン / アストロサイト / エストロゲン / ミクログリア / 卵巣 / 細胞性免疫 / 生体ストレス |
研究開始時の研究の概要 |
脳梗塞の発症において卵巣ホルモンは予防的に働くことが知られている。一方、脳梗塞発症後の病態進行に対する卵巣ホルモンの働きには未知な点が多い。本研究では、マウス光血栓性脳梗塞モデルを用いて、脳梗塞発症後の病態進行に対する卵巣ホルモンの役割について検討する。加えて、この卵巣ホルモンの作用が免疫系の制御を介しているのか、加齢やメンタルストレスなどにより影響を受けるのかを検討する。これらの解析により、高齢女性が脳梗塞を発症した際の病態進行を左右する生物学的因子を明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究では、脳梗塞の病態進行における卵巣ホルモンの影響を検証することを目的とした。マウス光血栓性脳梗塞モデルを用いて、脳梗塞作製後にエストラジオール、プロゲステロン又はその両者を投与し、病態を検討した。雌マウスを用いた解析の結果、エストラジオール及びプロゲステロンは、ミクログリアの動態には影響しなかったが、アストロサイトの反応性を調節することが分かった。これらのアストロサイトの反応性変化は卵巣の有無による影響を受けなかった。雄マウスでも同様の結果を得られたが、炎症性サイトカインの発現に関しては、一部に雌雄差が見られた。今回の実験条件においては、脳梗塞部位へのT細胞の集積は認められなかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により、脳梗塞、特に病変が小さいラクナ梗塞において、卵巣ホルモンが病態を制御することが初めて明らかとなった。また、エストラジオールとプロゲステロンが異なる影響を示すことが分かった。ラクナ梗塞は自覚症状の乏しい脳血管疾患であり、認知症の原因である可能性が示唆されている。したがって本研究成果は、卵巣ホルモンの制御が認知症を始めとする脳疾患の治療や予防に応用できる可能性を示唆したものである。また、この卵巣ホルモンの影響には雌雄差は見られなかったことから、エストロゲン用作用をもつ環境化学物質が、男女を問わず脳疾患の病態に影響している可能性を提起するものである。
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