研究課題/領域番号 |
21K07318
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52010:内科学一般関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
野島 順三 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (30448071)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 抗リン脂質抗体症候群 / 動脈血栓症 / 血管内皮細胞 / 単球 / 抗カルジオリピン抗体 / 抗β2-グリコプロテインⅠ抗体 / 抗カルジオリピン/β2-グリコプロテインⅠ抗体 / 抗ホスファチジルセリン/プロトロンビン抗体 / 組織因子 / 酸化ストレス |
研究開始時の研究の概要 |
抗リン脂質抗体症候群(APS)では、患者血中に多種多様な抗リン脂質抗体が混在し、その種別により血栓形成作用が異なることから患者が保有する抗体の組合せにより異なる合併症(動脈血栓症・静脈血栓症・習慣流死産等)が生じること、加えて血中酸化ストレス度の亢進により血栓性合併症の発症リスクが高まることを申請者らは先駆的に明らかにしてきた。本研究では、臨床的に有用性の高い抗リン脂質抗体を複数種測定でき、同時に酸化ストレス度を定量できる自動検査システムを開発し、陽性抗体の種類・抗体価・酸化ストレス度から患者毎にリスクの高い合併症のパターンを予測できる検査診断法を確立する。
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研究実績の概要 |
抗リン脂質抗体症候群(APS)は,多彩な血栓塞栓症の発症を特徴とする自己免疫疾患である.我が国のAPS患者における特徴として,脳梗塞を中心とする動脈血栓症が多いことが知られているが,詳細な発症機序は解明されていない. 本研究では,抗リン脂質抗体が血管内皮細胞・単球・リンパ球の相互作用を介して動脈硬化病変を進展させ,動脈血栓塞栓症を引き起こすという仮説を立て,コラーゲン上に播種したヒト大動脈血管内皮細胞(HAEC)と健常人末梢血単核球(PBMC)が接着等により直接作用できる接触系共培養モデルを作成し,抗リン脂質抗体の作用を検討した.その結果,共培養モデルにAPS患者由来IgG抗体を添加することにより,単球やリンパ球の血管内皮細胞への接着ならびに浸潤が促進されること,また,培養上清中およびコラーゲンゲル層中の単球において細胞表面組織因子(TF)の発現が増強されることを確認した. 動脈硬化病変の進展に関して,単核球の血管内皮細胞への接着,血管内皮下組織への浸潤,単球の泡沫細胞化など一連の機序が知られており,本研究では抗リン脂質抗体が存在することによって,単球およびリンパ球の血管内皮細胞への接着や血管内皮下組織への浸潤が促進され,動脈硬化の進展を招く可能性が示唆された.さらには血栓形成のトリガーとなる細胞表面組織因子発現の亢進により,動脈硬化性疾患が引き起こされると推測される.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度の研究計画は、患者血漿より単離・精製したAPS-IgG抗体を用いて、独自開発のヒト大動脈血管内皮細胞(HAEC)と健常人末梢血単核球(PBMC)の共培養実験系:接触系・非接触系にて抗リン脂質抗体の血栓形成作用を検討することであり、抗リン脂質抗体が免疫担当細胞の血管内皮細胞への接着や血管内皮下組織への浸潤を促進することにより動脈硬化の進展を招く可能性を得られた研究成果により、概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
既に患者血漿より単離・精製したAPS-IgG抗体を所持しており、独自開発のヒト動脈(静脈)内皮細胞・単核球・血小板の共培養実験系:接触系・非接触系にて細胞表面TF発現・接着分子発現・各種サイトカイン産生・一酸化窒素(NO)産生・活性酸素種(ROMs)産生・血小板活性化などを促進させる抗リン脂質抗体のタイプおよび組み合わせを検討する。
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