研究課題/領域番号 |
21K07325
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52010:内科学一般関連
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
小飼 貴彦 獨協医科大学, 医学部, 教授 (40711693)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 家族性甲状腺結節 / 家族性多結節性甲状腺腫 / サイログロブリン遺伝子 / 多結節性甲状腺腫 |
研究開始時の研究の概要 |
甲状腺に腫瘤が多発する多結節性甲状腺腫の多くに遺伝子異常が関係することがわかってきた。われわれの研究によると、当該疾患では、小児クレチン症の原因にもなるサイログロブリン遺伝子異常が多く検出されるが、腫瘤形成のメカニズムやがん化の可能性、遺伝しないタイプの甲状腺腫におけるサイログロブリン遺伝子異常の関与の有無などは不明である。遺伝するタイプの異常、及び遺伝しないタイプの異常の両方について検討し、細胞実験の結果も合わせてデータベースを作り、病原性の高い遺伝子異常かどうか、遺伝子検査の際、より確実に判断できるようにすることが本プロジェクトの目標である。
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研究実績の概要 |
我々のグループは、日本で最大規模の甲状腺専門病院である隈病院と共同で、家族性発症の多結節性甲状腺腫 (multinodular goiter, MNG)について、生殖細胞系列の遺伝子型に関するデータを集積しており、最近、遺伝子パネル検査により、予想外にサイログロブリン遺伝子(TG) のヘテロ接合性バリアントの頻度が高い(約33%) ことを見出した。一般的にTG 異常症はバイアレリック(ホモ接合型あるいは複合ヘテロ接合型)変異で“甲状腺腫を伴う甲状腺機能低下症”を発症し、TG のモノアレリック(ヘテロ接合型)変異の病的意義についての報告はなく、変異部位の違いによる病的効果の多様性も想定される。そこで本研究では、TG バリアントを伴う家族性多結節性甲状腺腫の成因の解明を、甲状腺組織内の2次的な腫瘍関連遺伝子異常の検索及び細胞実験による当該バリアントの病原性評価により試みることとした。さらに散発性MNG における TG バリアントの関与についても検討する予定とした。 今年度も、予備実験で設定した遺伝子パネル検査を利用し、生殖細胞系列遺伝子バリアントについて、当初の予定を大きく上回る86検体の家族性甲状腺腫症例の解析を行った。さらに、体細胞バリアント検索のための遺伝子パネル検査のパフォーマンスについての検討を行った。引き続き、生殖細胞バリアントの遺伝子型・表現型の関係について、レトロスペクティブに解析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)生殖細胞系列バリアントの NGS によるスクリーニング:今年度は、当初計画(10件/年)を大きく上回る検体数の解析を行った。 (2)体細胞バリアントの検出:今年度は2検体について、新たに設定した遺伝子パネル検査により解析を行い、検査の QC コントロールについての確認を行った。 (3)TG バリアントの安定発現細胞株樹立:(1)で大きく上回る検体数を処理しており、来年度以降に順延となった。
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今後の研究の推進方策 |
実験計画(1)生殖細胞系列バリアントの NGS によるスクリーニング、および、実験計画(2)体細胞バリアントの検出:引き続き、症例数を増やす予定である。 実験計画(3)TG バリアントの安定発現細胞株樹立と小胞体ストレスの評価:引き続き、多数あるバリアントの発現ベクターを作成予定である。 実験計画(4)散発性MNG の甲状腺組織における体細胞バリアントの検索:体細胞バリアント検索用の遺伝子パネルがデザインされたため、次年度は散発性のびまん性甲状腺腫組織における体細胞バリアントについても検索を進める予定である。
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