研究課題/領域番号 |
21K07331
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52010:内科学一般関連
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研究機関 | 姫路獨協大学 |
研究代表者 |
通山 由美 姫路獨協大学, 薬学部, 教授 (70362770)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 好中球 / NETs |
研究開始時の研究の概要 |
NETs(Neutrophil extracellular traps)は、好中球のクロマチンが網状構造に変化し、病原体を捕捉する感染防御の仕組みである。近年、NETs成分が血小板の活性化や血液凝固カスケードの刺激を介して、重篤な血栓症を誘発することが明らかにされてきた。本研究では、質量分析法および遺伝子編集技術を活用して、NETsを契機とする血栓形成の分子メカニズムの解明をめざす。感染症だけでなく、様々な基礎疾患に由来するNETs関連血栓症の新規治療法の開発に貢献する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、好中球のNETs(Neutrophil extracellular traps)を契機とする血栓形成の分子機構を解明して、血栓症の新規治療法を開発することである。NETsは、好中球のクロマチンが網状構造に変化して、病原体を捕捉する感染防御システムである。近年、NETsが血小板や血液凝固カスケードを刺激して、血栓症を誘発することが注目されている。そこで本研究では、NETs形成に重要な分子と化学反応を見いだし、その制御を通して血栓症の新規治療法を開発する事をめざす。 昨年度に引き続き、S100A8、S100A9についての解析を進めた。S100A8、S100A9は共に、プロテインS100ファミリーに属するカルシウム結合タンパク質である。以前に実施した質量分析の結果より、好中球のNETs形成過程で化学修飾を受ける重要なタンパク質として注目している。 S100A8、S100A9それぞれのノックアウト型好中球モデルを作成し、野生型と比較して、mRNAの発現量が有意に変化する遺伝子群をGSEA解析により探索した。 1)S100A8ノックアウト細胞と野生型、2)S100A9ノックアウト細胞と野生型の比較をおこなったところ、両解析において、概ね同様の結果が認められた。ウエスタンブロッティング法による解析において、S100A8のノックアウトでS100A9の発現が、S100A9のノックアウトでS100A8の発現が抑制される事をすでに確認しており、両分子がmRNAレベルで、互いに発現を調節していることが示唆された。 引き続き、S100A8、S100A9のノックアウトによりmRNAが有意に上昇する遺伝子群と、減少する遺伝子群、それぞれについて、タンパク質レベルでの発現への影響を検証するとともに、好中球のNETs形成、および好中球の機能に与える影響について解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
NETs形成に重要なタンパク質として注目しているS100A8とS100A9について、網羅的なmRNAの発現分析をおこなった結果、それぞれのノックアウトにより、mRNAが有意に減少する遺伝子群と有意に上昇する遺伝子群を複数見いだした。S100A8、S100A9の下流シグナル分子として解析を進めており、全体としては概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、NETs形成に重要な化学反応を探索して、その制御を通して血栓症の新規治療法の開発をめざす。 好中球のNETs形成に重要なタンパク質として注目しているS100A8とS100A9については、網羅的なmRNA測定のGSEA解析の結果をさらに分析する。とりわけ、1)S100A8、S100A9のノックアウトにより、mRNAが有意に減少することを見いだした遺伝子群についての解析を進める。遺伝子群の中で、特に減少の著しい遺伝子について、ウエスタンブロッティング法にてタンパク質レベルでの影響を検証して、差異のある分子を同定する。同定したタンパク質について、NETs形成プロセスへの影響を、可視的、生化学的な方法で検討する。加えて、NETs放出成分の解析、食作用や活性酸素産生への影響、ウイルス感染時のサイトカイン産生などについて、フローサイトメーター、蛍光顕微鏡による可視的な手法、生化学的な手法で解析する。一方で、2)S100A8、S100A9のノックアウトによりmRNAの発現量が上昇したタンパク質については、NETs形成を抑制制御する活性も含めて、新たな視点で分子機能を探索する。 さらに、S100A8、S100A9以外のNETs形成に関わる分子候補として、P4HB(ジスルフィドイソメラーゼ)とRab27A(低分子量GTPアーゼ)についての解析も進める。ノックアウト型好中球モデル細胞を活用して、分葉核の形態への影響、NETs形成プロセスやNETs放出成分、ケモカイン依存性の遊走への影響など、NETs形成への関与について検討する。
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