研究課題/領域番号 |
21K07347
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52010:内科学一般関連
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
清水 裕晶 獨協医科大学, 医学部, 助教 (60594398)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | SMRT / 骨格筋 / β酸化 / TGF-β / 線維化 / 繊維化 / 転写抑制因子 / 核内受容体 / サルコペニア |
研究開始時の研究の概要 |
核内受容体転写抑制補助因子:SMRTの欠失マウスは成長プロセスで筋肉量が減少し、SMRT欠失培養筋細胞は線維化が促進するが、未だ詳細な病態機序は不明である。 申請者は研究目標を3段階に分け、SMRTを介した骨格筋の正常な分化・再生を促す分子機序の解明を試みる。まず、①マウス骨格筋でSMRTの標的となる核内受容体を確定し、SMRTが遺伝子転写を抑えている筋肉減少を引き起こす原因分子を見出す。②筋障害モデルの再生過程におけるSMRTの標的分子を明らかにする。③SMRT欠失マウスに上記①、②での同定分子に対する拮抗薬を用い、筋肉保護効果の発現を検証する。以上により筋疾患治療への応用を目指す。
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研究実績の概要 |
核内受容体転写抑制補助因子SMRTは、ヒト、マウス等の哺乳動物の広範な臓器に局在し、甲状腺ホルモン等のリガンドによる代謝促進作用を抑制することが知られている。例えば肝臓において、SMRTは甲状腺ホルモン等の核内受容体を介して、脂質合成を抑制しており、脂肪細胞ではインスリンに対する感受性を高める 作用を持つことが知られている。代表者はSMRTの全身欠失マウスを作成することに世界で初めて成功し、そのマウスに有意な肥満と骨格筋量の減少を生じることを突き止めたが、筋肉に存在するSMRTの機能的役割はまだ明らかになっていない。また代表者は、マウス筋芽細胞由来のC2C12細胞からSMRTを欠失させた株を確立し、本細胞株は細胞内のβ酸化が亢進しかつ、また筋菅形成などの分化能を失うことを見出した。さらなる解析により、その分化能低下の原因として、SMRT欠失が細胞のTGF-β受容体経路を亢進させ、その結果、筋細胞の線維化が促進されることを突き止めた。本研究では、全身SMRT欠失マウスの骨格筋を用いた網羅的なプロテオミクス解析を行い、SMRTの骨格筋における代謝制御機構の全貌をin vivoレベルで明らかにする他、上記の培養細胞によるin vitroの研究結果を踏まえて、研究を更にin vivoレベルに発展させる。TGF-β受容体経路活性化に伴う筋細胞の線維化をin vivoレベルで抑制することで、骨格筋の分化・再生能を回復 させて筋肉量の減少を防ぐことを示し、ヒト退行性筋疾患の治療応用につなげたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SMRT欠失マウス筋芽細胞C2C12細胞を用いた解析の結果、SMRT欠失筋細胞では、転写因子SMAD2,3を介し、TGF-β受容体経路の活性化による線維化が促進される現象を見出し、TGF-β受容体の阻害によって筋線維化を抑制できることがわかった。この結果をまとめ、Shimizu H, et al. PLOSONE (2022)に発表しており、現在はin vivoにおける線維化シグナルのSMRTによる抑制効果について、筋障害モデルを作成し更なる検証実験を遂行中である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は全身SMRT欠失マウスの筋試料を用いた解析を継続しており、TGF-β受容体経路の抑制による骨格筋量の改善や線維化の抑制などに着目した治療応用的なin vivo研究を進めている。
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