研究課題/領域番号 |
21K07353
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52010:内科学一般関連
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
石川 元直 東京女子医科大学, 医学部, 非常勤講師 (20529929)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | うつ病 / 医療人類学 / 高地環境 / ソーシャルキャピタル / フィールド医学 / 高齢者 |
研究開始時の研究の概要 |
わが国の自殺者数に占める高齢者の割合は高く、高齢者のうつ病対策は重大な課題である。近年、標高と自殺率には正の相関があるとの報告が相次いでいるが、申請者はヒマラヤやアンデスの高地に住む高齢者にはうつ病が少ないということを報告してきた。その理由として社会の絆や結束といった良好なソーシャルキャピタルや宗教観がうつ病の発症に抑止的に働いている可能性がある。本研究では標高や文化の影響を検討するために、他地域の高地住民や低地住民と比較することで、うつ病の発症に抑止的に働く因子を解明する。さらに医療人類学の観点から日本の高齢者に応用すべくどんな方法で支援をしたらいいかを考え、ヘルスケアデザインの策定を行う。
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研究実績の概要 |
申請者らは2008年よりヒマラヤやアンデスの高地環境に対する人間の医学生理的適応について調査してきた。その中でもインド・ラダック地方ドムカル村(標高3000~3800m)では縦断研究を行っており、ラダックの高地住民には、うつ病が少なく、主観的QOLが高いことを明らかにした。敬虔なチベット仏教徒であるという精神的支えとあいまって、家族やコミュニティーにおける社会的つながりの高さが保たれているために、自立度が低下したり、災害で家屋を失ったりした高齢者に対しても、良好なソーシャルキャピタルのため、QOLが高く保たれる社会のしくみが機能していることが、結果の背景にあると考えられた。しかしながら標高の違う地域や他民族と比較していないため、標高とうつ病の関係にはいまだ不明な点が多い。本研究では中国青海省玉樹(標高3700m)および高知県土佐町(標高300m)、東京都板橋区(標高30m)で同様の手法で健診を行い、ラダックと比較することで、うつ病の発症に抑止的に働く因子をさらに解明する。また、うつ病の有病率を各地域で比較し、標高や文化、人種間、農村部と都市部でのQOLや幸福度との関連をみる。うつ病の有病率が低い要因を抽出し、人々の幸せな老いとよりよい QOLを追求する。また、うつ病によってどのような機能障害があるのか、その他の社会生活上にはどのような悪影響が引き起こされているのか、援助要請のパターンはどうなっているのかについても明らかにし、それに関連する文化的要因についても検討する。 2022年度も新型コロナウイルス感染症の蔓延により一切のフィールドワークができなかったが、フィリピン緩和ケア学会(Philippine Society of Hospice and Palliative Medicine)との研究会で今までの研究の知見やこれからの課題について発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の蔓延により一切のフィールドワークができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は国内外のフィールドワークを再開する予定である。しかしながら本研究の対象者の多くは高齢者であり、特に慎重に行う必要があると考える。
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