研究課題/領域番号 |
21K07375
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52010:内科学一般関連
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
前田 卓哉 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (20383763)
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研究分担者 |
樽本 憲人 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (00746993)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | SARS-CoV-2 / 混合感染 / レジストーム解析 / COVID-19 / 重症化 / ゲノム解析 / ナノポア・シーケンス / 網羅的検査 / 微生物叢 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、新しいナノポア・シーケンス技術を活用した感染症検査法の開発研究である。得られた成果を実際の臨床検体に応用し、臨床現場において実践可能か検証することを目的としている。本技術では事前に病原体を想起する必要がなく、患者検体から得られた病原体の遺伝子情報を網羅的に解析できる。しかも、大型機材を必要とせず、診療機関での実施が可能であることから、実用性が極めて高い新しい検査ツールとなりうる。 本研究の成果は、いまだ猛威をふるう新型コロナウイルス感染症の病態解明のほか、さらなる新興・再興感染症の発生にも備えるツールとして活用できるほか、診断が困難な感染症や耐性菌検査にも活用できる技術となる。
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研究実績の概要 |
2021年度には、1)ウイルスの網羅的解析手法を構築し、2)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化の因子にウイルスの共感染の関与を検証したが、残念ながらその関連性について証明することはできなかった。2021年から22年度にかけて、COVID-19の「中等症」ならびに「重症」患者から取得した鼻咽頭拭い液を使用し、病原体ゲノムを網羅的に解析することで、共感染する病原体の病態への関与を検証した。さらに、ゲノム解析のパイプラインを構築し、当院における重症COVID-19患者の混合感染に対するモニタリング体制をあわせて構築した。この検討において、凍結保存していたCOVID-19患者検体(9,641検体)のうち、最終的に中等症もしくは重症COVID-19と診断された患者の初回採取検体42検体を対象として解析した結果、当院で診療した中等症・重症患者の検体から、SARS-CoV-2以外のウイルスの共感染を検出することはできず、重症化因子になりうるとする仮説を支持することはできなかった。 2022年度には、前年に確立した検体前処理方法ならびに解析パイプラインを活用し、過去に繰り返し感染症を発症し、抗菌薬治療を受けた既往を持つ患者、もしくは人工呼吸器による呼吸管理のほか、経管栄養による栄養摂取が生存に必要な患者群におけるantibiotic resistomeおよび口腔内細菌叢に関する解析を開始した。呼吸器感染症を発症していない患者群をコントロールとし、次世代シーケンサー(NGS)による病原体のメタゲノム解析およびレジストーム解析を開始した。現在、更なる症例数確保のため、患者登録と検体の採取・保管を継続している。実用化を目指すことから、より簡易的かつ迅速な網羅的解析を実現するべく、NGSを用いた解析とあわせて、MinIONを用いた解析の有用性について実証を重ねている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の感染拡大に対応するため、2022年度の研究に費やす時間を確保することができなかったことから、症例登録にやや遅れが発生している。
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今後の研究の推進方策 |
必要な倫理承認は取得し、解析のパイプラインの構築は概ね完了している。症例のエントリー・検体前処理も機械的に実施できている。引き続き症例登録と検体確保を進め、MinION/Flongleを使用した解析系の有用性について実証する。
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