研究課題/領域番号 |
21K07398
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52010:内科学一般関連
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
遠藤 真理 北里大学, 薬学部, 助教 (60296829)
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研究分担者 |
清原 寛章 北里大学, 感染制御科学府, 教授 (70161601)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 免疫チェックポイント阻害剤 / Tリンパ球活性化 / 補中益気湯 / 自己免疫性副作用 / 自己反応性リンパ球除去 |
研究開始時の研究の概要 |
抗CD3抗体と抗PD-1抗体カクテル単回投与による小腸粘膜・肺粘膜炎症モデルや、より臨床での投与期間を反映するスケジュールで抗体カクテルの複数回投与による小腸、肺、膵臓での免疫学的変化の解析も進める。これらの解析から確立したモデルマウスでの白朮配合補中益気湯の投与による改善作用について解析する。加えて、白朮配合補中益気湯の自己反応性Tリンパ球除去作用が免疫チェックポイント阻害剤で起こる自己免疫的副作用の発現予防に活用可能であると推測し、白朮配合補中益気湯のパイエル板での自己反応性リンパ球除去システムの賦活化作用を解析する。また、補中益気湯以外に利用可能な白朮配合剤漢方薬を選別する。
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研究実績の概要 |
免疫チェックポイント阻害剤によるTリンパ球の活性化により、自己反応性Tリンパ球も活性化され自己免疫性の副作用症状が発現するが、副作用発現を予防する薬剤の開発やその研究方法としての自己免疫性副作用発現モデル動物は開発されていない。マウスの自己反応性リンパ球の存在はヒト程多くない為、抗PD-1抗体単独ではTリンパ球の異常活性化は起こらないと想定されるが、抗CD3抗体単独投与で全身炎症、小腸粘膜炎症や肺炎症が惹起されることから、これらの炎症を惹起しない低濃度の抗CD3抗体と抗PD-1抗体とのカクテルを投与することによりこれらの炎症が増悪され、自己免疫副作用の症状のうち特に重篤でその割合が多い消化管の穿孔や間質性肺炎に類似した症状を惹起するモデルを作製することができると推測される。補中益気湯は、抗CD3抗体単独投与による炎症に有効であることが確認されており、同処方内に含有される中鎖長イヌロオリゴ糖に類似のイヌロオリゴ糖にパイエル板でのAuto immune regulatorの発現を増強する可能性が考えられていることから、本モデルに対しても補中益気湯が有効であることが予想されるために用いた。その結果、免疫チェックポイント阻害剤としての抗PD-1抗体と抗CD3抗体の抗体カクテルのマウスへの単回投与により抗PD-1抗体単独では認められない小腸粘膜炎症・肺炎症の増悪モデルを作製可能であること、および白朮配合補中益気湯の短期の予防的投与で小腸粘膜炎症が改善することを明らかとした。さらに、自己反応性Tリンパ球の除去には一定期間が必要と想定されることから、白朮配合補中益気湯の1ヵ月間の予防的投与による改善効果について検討を試みたところ、白朮配合補中益気湯は、短期および長期の予防的投与により抗体カクテルによる小腸粘膜炎症に対する改善作用を示すことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
抗体カクテルの投与で抗CD3抗体単独での炎症に比較した増悪程度が強くなること、補中駅気湯の投与で改善することが明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
抗体カクテル投与直前での小腸組織内の自己反応性T細胞数やCD8陽性T細胞数の変化の解析、および白朮配合補中益気湯の投与によるパイエル板での自己反応性T細胞除去システムの活性化の有無の解析を予定している。
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