研究課題/領域番号 |
21K07403
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52010:内科学一般関連
|
研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
石井 潤一 藤田医科大学, 医学部, 教授 (70222940)
|
研究分担者 |
成瀬 寛之 藤田医科大学, 医療科学部, 教授 (50319266)
西村 豪人 藤田医科大学, 医学部, 助教 (40837423)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 高比重リポ蛋白機能 / コレステロール取り込み能 / small dense低比重リポ蛋白 / 酸化リポプロテイン(a) / リポプロテイン(a) / 心血管イベント / 安定冠動脈疾患 / スタチン / HDLコレステロール取り込み能 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では「冠動脈疾患患者に対するピタバスタチンによる積極的脂質低下療法または通常脂質低下療法のランダム化比較試験(REAL-CAD)」に登録された13,052例の保存血清とREAL-CADのデータベースを用いてケース・コホート研究を行う。抽出された1,500例で登録時(ランダム割付時)とその6か月後の高比重リポ蛋白(HDL)取り込み能を測定し、心血管イベントとの関係を検討する。安定冠動脈疾患患者では、HDL取り込み能は心血管イベントの予測に有用であるか、その心血管リスクは積極的脂質低下療法により低下するか、HDL取り込み能の改善により心血管リスクは低下するかを明らかにする。
|
研究実績の概要 |
従来の高比重リポ蛋白(HDL)機能の測定は煩雑かつ特殊な設備を要するため、その臨床的意義は十分に検討されていない。近年、HDL機能の簡便な評価指標としてHDLのコレステロール取り込み能(HDL-CUC)の測定法が開発された。2021年度は小型高密度低比重リポ蛋白コレステロール(sdLDL-C)と心血管イベントとの関係を明らかにした。本年度は、冠動脈疾患患者に対するピタバスタチンによる積極的脂質低下療法または通常脂質低下療法のランダム化比較試験(REAL-CAD)の保存検体と既存のデータベースを用いて、高用量もしくは低用量スタチン治療例におけるHDL-CUCと心血管イベントとの関係を検討した。 ケース・コホート研究の手法により安定冠動脈疾1911例(高用量ピタバスタチン[4mg/日]治療群955例、低用量ピタバスタチン[1mg/日]治療群856例)を抽出し、ベースライン(登録時)と6ヶ月後のHDL-CUCを測定した。その結果、ベースラインHDL-CUCの第一4分位群と第二4分位群では、HDL-CUCは高用量スタチン群の方が低用量群に比べて有意に増加していた。一方、第三4分位群では僅かに増加し、第四4分位群では減少していたため、全集団においては高用量群と低用量群の間に有意な違いは認められなかった。HDL-CUCと心血管イベントとのCox単変量解析の結果では、低用量スタチン群におけるベースラインのHDL-CUCが高いほど心血管イベント発生が少ない傾向が認められたが、統計的有意な関連ではなかった。一方、高用量スタチン群ではベースラインのHDL-CUCと心血管イベントとの有意な関連性は認められなかった。 今後は、HDLコレステロールやLDLコレステロールの高値と低値、糖尿病の有無、慢性腎臓蚋の有無によるサブグループにおけるHDL-CUC測定の臨床的意義を検討する必要がある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我々は冠動脈疾患患者に対するピタバスタチンによる積極的脂質低下療法または通常脂質低下療法のランダム化比較試験(REAL-CAD)登録症例からケース・コ ホート研究の手法を用いて1972例(高用量ピタバスタチン[4mg/日]治療群960例、低用量ピタバスタチン[1mg/日]治療群1012例)を抽出した。全抽出症例のベースライン(登録時)および6ヶ月後の残存検体は2021年度に購入した超低温フリーザーに保存してある。 2021年度は小型高密度低比重リポ蛋白コレステロール(sdLDL-C)濃度を測定し、高用量もしくは低用量スタチン治療例におけるsdLDL-C濃度と心血管イベントとの関係を検討し、英文論分(J Atheroscler Thromb 2022)を作成した。 2022年度はHDL-CUCを測定し、HDL-CUCと心血管イベントとの関係を検討したが、有意な関連性は認められなかった。今後は、HDLコレステロールやLDLコレステロールの高値と低値、糖尿病の有無、慢性腎臓蚋の有無によるサブグループにおけるHDL-CUC測定の臨床的意義を検討する予定である。 2023年3月の時点で全症例における酸化リポプロテイン(a)濃度の測定は終了している。また、低用量群におけるリポプロテイン(a)濃度の測定は終了している。
|
今後の研究の推進方策 |
超低温フリーザーに保存してある血清を用いて、高用量と低用量スタチン治療例におけるベースライン(登録時)と6ケ月後のリポプロテイン(a)濃度を測定する。 2023年度はHDL-CUCに関しては、HDLコレステロールやLDLコレステロールの高値と低値、糖尿病の有無、慢性腎臓病の有無によるサブグループにおける臨床的意義を検討する。 酸化リポプロテイン(a)に関しては、スタチン治療中の安定冠動脈疾患患者において酸化リポプロテイン(a)とリポプロテイン(a)の高値は心血管イベントの独立した危険因子であるか否かを検討する。さらに、酸化リポプロテイン(a)とリポプロテイン(a)の心血管イベントの予測における有用性を比較検討する。
|