研究課題/領域番号 |
21K07406
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52010:内科学一般関連
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
中西 司 産業医科大学, 大学病院, 助教 (00772609)
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研究分担者 |
吉田 安宏 産業医科大学, 医学部, 准教授 (10309958)
塚田 順一 産業医科大学, 大学病院, 准教授 (20227367)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ATL / 薬剤耐性 / ステロイド / 白血病 / ステロイド 様抗がん剤 / FGビーズ / インフラマゾーム |
研究開始時の研究の概要 |
申請者らは初めて細胞株ではなく成人T細胞性白血病(ATL)患者より分離したリンパ球を用い、ステロイド骨格を持つ抗がん剤の効果を報告し、その際薬剤耐性機序の一端を報告した。本研究ではステロイド骨格を持つ種々薬剤耐性白血病細胞株の樹立から薬剤耐性に関与している分子群の同定を行い、実際に薬剤に結合するタンパク分子の同定を、ビーズ固定法により行う。最終的に、ステロイド骨格を持つ種々薬剤で処理した患者白血病細胞における標的分子の解析により、総合的にステロイド骨格薬剤に対する耐性機序の解明を行い、将来的に行われると期待される、薬剤投与の効果が見込まれる群の識別(個別化診療)に応用するための研究課題である。
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研究実績の概要 |
昨年度から取り組んでいる「薬剤耐性を規定する特徴的な分子の探索」という課題に対し、薬剤耐性を獲得した細胞株で、薬剤が直接作用・結合する標的タンパク質を同定するというアプローチをしている。昨年度は申請者らが今までに汎用してきたATL細胞株(MT-1、MT-2、MT-4細胞)を用い、ある程度の耐性株の樹立に成功した。抗がん剤としては、ステロイド骨格を持つウリ科の植物に広く含まれるククルビタシンDを用いて、その抵抗株を安定して得ることに成功した。しかしながら、用いた濃度(IC50より若干高めの濃度)ではMT-4に関してはその抵抗株の樹立にまでは至らず、この3株ではステロイドに対する感受性機構に差異があることが示唆された。 そこで、薬剤処理の回数を増やし、2回の処理群でその効果を検討した。興味深いことに、2回の処理で更に抵抗性が亢進する傾向が全ての細胞で観察されたものの、MT-4に関してはまだ不十分な抵抗性であった。しかしながら、MT-1およびMT-2において、薬剤の1度の処理と2度の処理で抵抗性に劇的な差は認められず、従って以降の実験は1度の薬剤処理で進める方針である。 ククルビタシンDを半田ビーズに固定させ、細胞溶解液中に存在する結合分子、即ち標的分子を探索した。大量の細胞溶解液を調製する必要があるため、先ずは既存の接着細胞由来の細胞溶解液を使用した。結合タンパク質をビーズから外し、銀染色で特異的に検出されるタンパク質を観察した。ウエスタンブロット法でそれらの一つがAktとHSP90であることを同定した。これらはステロイドの抗腫瘍効果作用機序においても重要な分子であり、今後はそれらの分子のククルビタシンDが誘導する細胞死における役割を検討する計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
薬剤に結合するタンパク質を同定したものの、樹立した薬剤耐性ATL細胞株を用いた標的分子の探索がまだできていないため再度確かめる必要があり、現在検討中である。そのため、やや計画から遅れている印象である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は標的遺伝子群の解析に、樹立前細胞株、対照群細胞株、および薬剤耐性細胞株の3群について(解析がかなり煩雑なので、2群も想定し)RNASeq法を計画していたものの、その後解析手段の方法・価格を熟慮し、最終年度に持ち越した。耐性株の樹立は安定して誘導できているので、特にMT-1細胞に絞って薬剤耐性に関する分子群の情報を網羅的に収集する計画である。
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