研究課題/領域番号 |
21K07418
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52020:神経内科学関連
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
松浦 英治 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (30598800)
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研究分担者 |
高嶋 博 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (80372803)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | HTLV / キャリア / HAM / 早期診断 / 剖検脊髄 / 病理 / 筋 / CTL / 痙性脊髄麻痺 / HTLV-1キャリア / HAM/TSP / 疫学 / 発症年齢 / 超早期診断 |
研究開始時の研究の概要 |
HTLV-1による炎症がHAM発症のかなり以前から生じている事を証明するためにHTLV-1無症候性キャリアにおける脊髄内HTLV-1特異的炎症の存在を証明する。また、診断基準を満たさない患者髄液でも特異的炎症が検出可能な事を証明する。これによりHAM患者に施される治療を無症候性キャリアや感覚・排尿障害だけの患者にまで治療windows opportunityを拡大し, HAM(運動障害)発症を遅延させ得る事を証明する。その為に①無症候性キャリア剖検脊髄内に特異的炎症の存在し②患者レジストリデータを解析し,抗炎症剤等の使用歴がHAM発症時期を遅らせる事を証明する。
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研究実績の概要 |
近年, HTLV-1関連脊髄症(HAM)の診療は「抗炎症」療法が重要視されている。我々は、HTLV-1による脊髄炎症はHAM発症の以前から開始し、それを早期に確認できれば、治療のwindows opportunityを拡大し, 臨床的発症を遅延させることが可能と考えた。その為に、発症前のキャリア脊髄内に特異的な炎症が本当に存在するかなど、発症早期の検出を本研究の目的とした。1年目にはHAM発症の特性を明らかにするために、発症年代によって免疫学的差異があるか検討し、世代間別の発症者数や発症率を検討し、その結果、年齢とともに感染率が上昇、80歳以上では人口の20%前後が感染していることを明らかにし論文報告した(Tashiro et al. AIDS Reseaerch and Human Retrovirusis 2022 Feb14)。またキャリア脊髄中のHTLV-1特異的T細胞の存在を確認し更なる検出力向上に努めている。本年度は患者の治療反応性を明らかにするために患者血液PBMCのHTLV-1特異的CTLと治療反応性の関係を検討した。研究代表者が代表のHAM患者に対する新薬開発を目指した特定臨床研究の結果を解析し、論文報告した(Nozuma et al. Annals of Clinical and Translational Neurology 2022 Nevember 28)。この結果を受けて医師主導治験へのステップアップを図りヒアリングまで進んだもののPMDA相談や企業導出に時間がなく不採択であったため、現在PMDAとの相談を5月に予定しており来年度の治験ステップ1採択を目標としている。加えて一方、HAM患者の早期診断の可能性を臨床的に探り、HAMの早期診断に有用なメルクマールを探索し特徴的な筋症状を明らかにし論文報告するともに(Matsuura et al. Pathogens 2023 April 11)、感染した個人によって異なるリンパ球のT細胞レセプターレパトアの違いが発症に影響を与える可能性について報告した(JCI insight 2023 Feb. 21)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
早期診断に係る基礎的および臨床的解析を進める本研究の業績として、もっとも重要な前者については、現在既にこの2年間に集積したデータの論文化に入っているが、それ以外にも本年度はキャリアの個別の発症因子としてのT細胞レセプターの解析結果を論文(Nozuma et al. JCI insight 2023)にセカンドオーサーとして貢献することができた。また、後者としては、昨年度は最新の地域的感染者数を明らかにするなかでHAM発症年齢と世代別HAM発症率を解析した論文(AIDS and Human Retrovirol 2022)を責任著者として作成し、本年度はHAM早期診断の診断マーカーと銘打った臨床症状の特徴を明らかにした論文(Matsuura et al.Pathogens 2023)を筆頭著者,兼責任著者として作成しているから。
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今後の研究の推進方策 |
早期診断に資する研究を進めるなかで明らかとなった早期診断に有用な診断マーカーについては既に論文報告を行い、超早期病態を明らかにする病理学的解析は現在、研究をすすめつつ論文作成中であり、予定通りの進捗である。
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