研究課題
基盤研究(C)
Cerebellar ataxia, neuropathy, vestibular areflexia syndrome(CANVAS)において、病的リピート(AAGGG)n, (ACAGG)n、非病的リピート(AAAAG)nのRNA発現モデル、タンパク質発現モデルを構築し、疾患特異的RNA結合タンパク質の同定、RANTについての解析を通じ、イントロンの病的リピートが引き起こす病態を明らかにする。
Cerebellar ataxia with neuropathy and vestibular areflexia syndrome(CANVAS)は小脳失調、末梢神経由来の感覚障害、前庭神経障害を三主徴とする常染色体潜性遺伝性疾患で、近年、RFC1イントロン領域のAAGGGまたはACAGGリピート配列の両アレル性異常伸長により発症することが報告されている。両アレル性AAGGGリピート伸長を示す患者組織の検討においてRFC1のmRNAレベル、タンパク質レベルの低下は検出されておらず、ヒト組織でのRNA foci形成も示されていないことより、CANVASの病態は不明である。本年度は、CANVAS剖検脳でRNA fociの存在を検討した。両アレル性ACAGGリピート伸長を認める83歳女性例 (患者1)と両アレル性AAGGGリピート伸長を認める86歳女性例 (患者2)のCANVAS 2剖検例の組織に対して蛍光標識された(ACAGG)5および(AAGGG)5プローブを用いてRNA蛍光in situ hybridization法によりRNA fociの存在を評価し、次に病理学的変化とRNA fociを比較した。神経細胞喪失を認める組織の残存神経細胞の核内に、それぞれ内因性のCCTGTおよびCCCTTを含むRNA fociを認めた。患者1, 2を比較すると、患者1の方がより重度の神経変性を認めたプルキンエ細胞、後根神経節神経細胞、下オリーブ核、脊髄前角の神経細胞では患者1の方がRNA fociのサイズが有意に大きく、また患者2の方でより重度の神経変性を認めた前庭神経核では患者2のRNA fociが有意に大きかった。本研究では、CANVAS剖検組織においてRNA foci形成を初めて証明した。この結果はCANVASの病態にRNA毒性が関与する可能性を示唆するものであった。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件)
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