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ストレス応答miR10bエクソソームを標的とする新規アルツハイマー病評価法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K07448
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分52020:神経内科学関連
研究機関広島国際大学

研究代表者

中原 正子  広島国際大学, 保健医療学部, 講師 (30443120)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
キーワードアルツハイマー型認知症 / 血管内皮細胞 / 酸化ストレス / マイクロRNA / エキソソーム / フェルラ酸 / 脳血管内皮細胞 / microRNA-10b / exosome
研究開始時の研究の概要

アルツハイマー型認知症(Alz)は、脳内の血管内皮細胞(EC)の機能低下によるアミロイドβの代謝異常が一因である。申請者は、ECはストレス刺激でmicroRNA-10b (miR10b)を内包したエクソソームを分泌すること、周囲のECや平滑筋細胞に作用し血管機能に影響をもたらすことを証明した。さらに、miR10b発現抑制成分としてフェルラ酸を同定しており、ECのストレス障害の緩和効果を見出した。本研究では、ECストレス応答性エクソソーム型miR10bを標的とする脳血管ECの機能評価と制御法の開発を行い、Alzの早期発見と効果的な予防を可能とする新規評価・検査法の開発に向けた基礎的検討を行う。

研究実績の概要

前年までに血管内皮細胞はストレス刺激でmicroRNA-10b-5p (miR10b)をエクソソームに内包された状態で分泌すること、miR10bは脳由来神経栄養因子(BDNF)を標的としてタンパク質の発現を抑制することを報告した。
引き続きmiR10bと血管内皮細胞の機能の関係について解析した。miR10b過剰発現血管内皮細胞ではチューブ形成能および細胞増殖能が有意に低下していた。一方で、S-TuDを用いてmiR10bの機能を阻害すると、細胞増殖能が上昇することから、miR10b発現量と血管内皮細胞の機能が逆相関していることが示唆された。また、miR10bの発現増加はVE-cadherinのタンパク質発現を低下させることを報告したが、miR10bはVE-cadherinの局在制御にも重要な分子であることが分かった。一方で、miR10b過剰発現血管内皮細胞では、VE-cadherin-Y658のリン酸化が亢進しており、VE-cadherin-Y658のリン酸化は、下流のRho GTPaseであるRac1の活性化に関与しており血管内皮細胞の細胞間接着の制御や安定化に重要とされているという報告があることから、miR10bはVE-cadherinを介した細胞接着に関わる下流シグナルの制御にも関与する可能性が明らかとなった。これらのことから、血管内皮細胞ではストレス刺激に応答して上昇したmiR10bによって、血管内皮細胞の機能制御に重要な分子であるBDNFやVE-cadherinの発現や機能・質的変化が誘導され、その結果、血管内皮細胞の機能の破綻に繋がっている可能性が示唆された。
以上の結果より、種々のストレス刺激による血管内皮細胞機能変化の分子機序の一端としてmiR10bが関わっていることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ストレス刺激をうけた血管内皮細胞内の分子機序について、予定していた内容まで明らかにすることが出来、学会発表、および論文発表を行った。ストレス刺激が過酸化水素H2O2や低酸素誘導剤DFOといった人為的な環境下であることから、一旦ここで区切りをつけた。今後はストレス刺激をアルツハイマー型認知症の原因の一つと言えるアミロイドベータに変更し、より生理的環境に近づけ、これまでの蓄積したデータをもとに、さらに解析を進めていく。

今後の研究の推進方策

miR10bは様々なストレスに応答して血管内皮細胞で発現誘導されており、血管内皮細胞に対するストレス状態を鋭敏に捉えることができると考えられる。一方で、本検討ではエクソソーム分離して内包されたmiR10bを測定していないため、今後は培地内に遊離したエクソソームにおける発現解析が必要と考える。
また、これまでに植物由来天然ポリフェノールであるフェルラ酸が、酸化ストレスに対する細胞保護作用を有していることを報告している。今回の研究結果から、フェルラ酸は血管内皮細胞においてもストレス刺激(H2O2やDFO)に対する細胞保護効果を示しており、その分子機序としてフェルラ酸がmiR10b発現誘導を阻害することが明らかとなった。すなわち、フェルラ酸によるmiR10b発現制御法を確立することにより、ストレス刺激によって障害された血管内皮細胞の機能を改善・適正化する手法の開発が可能であると考えられる。そのためには、血管内皮細胞がどのようにmiR10bの発現上昇を抑制しているか、今後さらなる解析が必要である。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (11件)

すべて 2024 2023 2022 2021 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (6件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] ストレス応答miR10bエクソソームを標的とする新規アルツハイマー病評価法の開発2024

    • 著者名/発表者名
      中原正子 , 中山寛尚
    • 雑誌名

      医療工学雑誌

      巻: 18 ページ: 1-8

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Comparison of Fully and Partly Compression Socks for Prevention of Leg Swelling during the Working Daytime2023

    • 著者名/発表者名
      Kosuke Morinaga, Shigekazu Ishihara, Shun Tarumoto, Masako Nakahara, Toshio Tsuji
    • 雑誌名

      Journal of Vascular Medicine & Surgery

      巻: 11 ページ: 1-7

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] アルツハイマー型認知症の新規検査法開発2022

    • 著者名/発表者名
      石原 爽大, 中山 寛尚, 楠本 智章, 中原 正子
    • 雑誌名

      医療検査と自動化

      巻: 47 ページ: 351-351

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Inactivation of axon guidance molecule netrin-1 in human colorectal cancer by an epigenetic mechanism2022

    • 著者名/発表者名
      Nakayama Hironao、Ohnuki Hidetaka、Nakahara Masako、Nishida-Fukuda Hisayo、Sakaue Tomohisa、Fukuda Shinji、Higashiyama Shigeki、Doi Yuki、Mitsuyoshi Masahiro、Okimoto Takashi、Tosato Giovanna、Kusumoto Chiaki
    • 雑誌名

      Biochemical and Biophysical Research Communications

      巻: - ページ: 146-150

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2022.04.069

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] アルツハイマー型認知症における新規検査法の開発2023

    • 著者名/発表者名
      中原正子、中山寛尚
    • 学会等名
      第72回日本医学検査学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] アルツハイマー型認知症の新規検査法開発2022

    • 著者名/発表者名
      石原爽大、中原 正子
    • 学会等名
      第55回日本臨床衛生検査技師会 中四国支部医学検査学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 大腸癌における netrin-1遺伝子のエピジェネティック制御解析2022

    • 著者名/発表者名
      鈴川 萌、中原 正子、楠本 智章、中山 寛尚
    • 学会等名
      第16回日本臨床検査学教育学会学術大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 軸索誘導因子 netrin-1を標的とした新規大腸癌バイオマーカーの開発2022

    • 著者名/発表者名
      松崎 実歩、中原 正子、楠本 智章、中山 寛尚
    • 学会等名
      第16回日本臨床検査学教育学会学術大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 血中マイクロRNAを標的とした新規アルツハイマー型認知症検査法の開発2021

    • 著者名/発表者名
      林咲良、中山寛尚、楠本智章、大久保美佑、坂本侑加、阿部玲南、香川綾夏、中原正子
    • 学会等名
      第15回 日本臨床検査学教育学会学術大会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] BDNF発現制御マイクロRNAの同定と解析2021

    • 著者名/発表者名
      香川綾夏、中山寛尚、楠本智章、阿部玲南、坂本侑加、大久保美佑、林咲良、中原正子
    • 学会等名
      第15回 日本臨床検査学教育学会学術大会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [備考] JACLaS Award Ⅰ2022 優秀演題賞受賞(学部生部門)

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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