研究課題/領域番号 |
21K07467
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52020:神経内科学関連
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
中村 優理 国際医療福祉大学, 福岡薬学部, 准教授 (40822375)
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研究分担者 |
山崎 亮 九州大学, 医学研究院, 准教授 (10467946)
今村 友裕 国際医療福祉大学, 福岡薬学部, 講師 (30725122)
渡邉 充 九州大学, 大学病院, 助教 (30748009)
吉良 潤一 国際医療福祉大学, 福岡薬学部, 教授 (40183305)
Maimaitijiang Guzailiayi 国際医療福祉大学, トランスレーショナルニューロサイエンスセンター, 特任助教 (60887107)
真崎 勝久 九州大学, 大学病院, 講師 (90612903)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 脱髄疾患 / 多発性硬化症 / エキソソーム / コネキシン / グリア線維性蛋白 / イソフォーム / マイクロRNA / アストログリア / 神経免疫疾患 / グリア / エクソソーム / グリア由来エキソソーム |
研究開始時の研究の概要 |
多発性硬化症(MS)は最も多い脱髄疾患で根治療法はない。私たちは剖検例でグリアコネキ シン(Cx)の脱髄巣での発現異常が重症度と相関し、MSモデルの実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)で発症時に末梢血でGap junction(GJ)A1-26kD isoformを発現するエキソソームが著増することを見出した。GJA1-26kD isoform発現エキソソームが、脳皮質アストログリア由来でEAEを増悪させると考えた。本研究でアストログリア由来GJA1-26kD isoform発現エキソームが脱髄炎を遠隔性に制御している機序について明らかにする。
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研究実績の概要 |
多発性硬化症(MS)は、再発寛解型で発症しても半数は二次進行型へ移行し、脱髄炎の慢性進行に伴い軸索障害が進む。アストログリアやオリゴデンドログリアは、コネキシン(Cx)で細胞間ギャップ結合を形成しエネルギー源やカリウムイオンのやり取りを通じて脳の恒常性を維持している。私たちはMSモデルの実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)においてグリアCxが代謝機能ばかりでなく脳炎症を制御する重要な役割を担っていることを明らかにした。グリアから放出されたエクソソームは血液脳関門(BBB)を通過できるので、本研究では、MS患者の各病期での血清エクソソームの解析を行った。MSでは、再発期と二次進行期で末梢血でアストログリア由来のglial fibrillary acidic protein含有エクソソームが増加するとともに、再発期、寛解期、二次進行期と次第にGJA1-29kが増加した。Cx43の低分子量isoformは、低酸素ストレスなどで発現が亢進し、チャネル機能を失うがRNA/DNA結合部位を保持する。GJA1-29kはマイクロRNA (miR)等を伝搬し、GJA-11kは核移行し細胞増殖を抑制する。そこで、血清エキソソームのRNAシークエンス解析を行った。二次進行型MSでは健常対照に比して、エキソソーム中のmiR301a, miR324, miR21, miR191, let-7e, let-7d, let-7f-1 and let-7f-2 が有意に増加していた。。野生型マウスEAEでは、ウェスタンブロット法で末梢血で急性期から慢性進行期にかけてGJA1-29kを発現するエクソソームが著増した。一方、EAEが軽症化するアストログリア特異的Cx43 inducible conditional knockout (icKO)マウスのEAEでは、増加はみられなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、以下のような重要な発見があったため、研究はおおむね順調に進展していると考える。 (1)血清エキソソームのRNAシークエンス解析を行い、二次進行型MSでは健常対照に比して、エキソソーム中のmiR301a、 miR324、miR21、miR191、let-7e、let-7d、let-7f-1、let-7f-2が有意に増加する変化を見出したため。 (2)MS患者の各病期での血清エクソソームの解析を行い、MSの再発期と二次進行期で末梢血でアストログリア由来のglial fibrillary acidic protein含有エクソソームが増加するとともに、再発期、寛解期、二次進行期と次第にGJA1-29kが増加する変化を発見したため。 (3)野生型マウスEAEでは、ウェスタンブロット法で末梢血で急性期から慢性進行期にかけてGJA1-29kを発現するエクソソームが著増する一方、EAEが軽症化するアストログリア特異的Cx43 inducible conditional knockout (icKO)マウスのEAEでは、その増加はみられなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
以下の3つの発見から、GJA1-29k含有エキソソームは脳アストログリア由来で、miRを伝搬し、中枢神経炎症を増悪させると考えた。 (1)MS患者の各病期での血清エクソソームの解析を行い、MSの再発期と二次進行期で末梢血でアストログリア由来のglial fibrillary acidic protein含有エクソソームが増加するとともに、再発期、寛解期、二次進行期と次第にGJA1-29kが増加した。(2)野生型マウスEAEでは、ウェスタンブロット法で末梢血で急性期から慢性進行期にかけてGJA1-29kを発現するエクソソームが著増する一方、EAEが軽症化するアストログリア特異的Cx43 inducible conditional knockout (icKO)マウスのEAEでは、その増加は消失した。(3)血清エキソソームのRNAシークエンス解析により二次進行型MSでは健常対照に比して、エキソソーム中のmiR301a、 miR324、miR21、miR191、let-7e、let-7d、let-7f-1、let-7f-2 が有意に増加した。 今後、定量的PCR法により、RNAシークエンスでMSで増加していたmiRが本当に健常対照より増加しているかを多数例で検討する。これらの有意に増加していることが確認されたmiRの機能を培養免疫細胞やグリア細胞で検討する。
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