研究課題/領域番号 |
21K07469
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52020:神経内科学関連
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研究機関 | 三重大学 (2022-2023) 藤田医科大学 (2021) |
研究代表者 |
脇田 英明 三重大学, 医学系研究科, プロジェクト研究員 (80416172)
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研究分担者 |
水谷 謙明 藤田医科大学, 医療科学部, 准教授 (30351068)
高橋 雄 藤田医科大学, 医学部, 講師 (50770012)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 慢性脳低灌流 / 血管性認知症 / アディポカイン / 大脳白質病変 / 慢性脳低灌流状態 |
研究開始時の研究の概要 |
慢性脳低灌流状態は血管性認知症の主要な病態である。一方、アディポカインは脂肪細胞から産生・分泌される生理活性物質で、エネルギー代謝、脂質・糖代謝、炎症、血管新生などに関与し、脳虚血との関連が報告されている。研究代表者らは慢性脳低灌流状態ではアディポカインのadiponectinが脳血管に集積することを新たに発見した。また、慢性脳低灌流状態がLeptinの受容体を誘導することを明らかにした。本研究では、この成果を基に、モデル動物の解析から慢性脳低灌流状態が脳内の様々なアディポカインに与える変化を解明する。本研究は、血管性認知症や脳虚血の新しい病因解明に貢献する。
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研究実績の概要 |
慢性脳低灌流状態は血管性認知症の大脳白質病変の主要な病態であるが、近年、アルツハイマー病の増悪因子であることが報告されている。一方、アディポカインは脂肪細胞から産生・分泌される生理活性物質で、エネルギー代謝、脂質・糖代謝、炎症、血管新生などに関与し、脳虚血や認知症との関連が報告されている。本研究では、モデル動物の解析から慢性脳低灌流状態が脳内の様々なアディポカインに与える変化を解明する。2023年度は、脳内Leptin、Leptin receptor、Adiponectin receptorの変化、変化部位をウエスタンブロッティングと免疫組織化学で解析した。両側総頚動脈閉塞処置による慢性脳低灌流状態を負荷したWistarラットについて、偽手術群、脳虚血導入3日、7日後の3群の動物脳についてLeptin、Leptin receptor、Adiponectin receptorの変化をウエスタンブロッティングで定量的に解析した。また、偽手術群、脳虚血導入1日、3日、7日、14日、30日後の6群の動物脳について免疫組織化学を用いて、脳内のLeptin、Leptin receptor、Adiponectin receptor の変化、変化部位を解析した。Leptin、Leptin receptorは脳虚血導入3日後に一過性の上昇を認め、大脳皮質、海馬、白質に陽性血管の増加を認めた。Adiponectin receptorは脳虚血導入3日、7日後ともに上昇を認め、主に大脳皮質で陽性血管の増加を認めた。慢性脳低灌流状態では、Adiponectinは大脳皮質の血管に持続的に、Leptinは大脳皮質、海馬、白質の血管に一過性の集積を認め、集積の分布や時期は受容体の発現に依存していた。AdiponectinとLeptinでは脳血管への集積の時期や分布が異なることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究では、モデル動物の解析から慢性脳低灌流状態が脳内の様々なアディポカインに与える変化を免疫組織化学、ウエスタンブロット、ELISAを用いて解明する。2023年度は、脳内のApelin、Visfatin、Leptinの各アディポカインとその受容体の変化やエフェクター分子の変化について解析することと、アディポカインを制御する化合物などを慢性脳低灌流状態のモデルに投与し、虚血性白質病変に与える影響を検討する計画であった。しかし、昨年度までに行ったAdiponectin receptorのサブタイプでの解析ではウエスタンブロッティングで偽手術群と虚血群の間で差を検出できなかったが、2023年度に、新たに購入した抗体でAdiponectin receptor1のウエスタンブロッティング解析を行い、虚血群での脳内上昇が確認されたため、本抗体でのAdiponectin receptor1のウエスタンブロッティングおよび免疫組織化学の解析を2023年度に行った。Leptin、Leptin receptor の変化の解析も行なったが、Apelin、Visfatinは2024年度に実施することになった。さらに2024年度は、アディポカインを制御する化合物などを慢性脳低灌流状態のモデル動物に投与し、虚血性白質病変に与える影響を検討する。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度までにAdiponectinとLeptinの各アディポカインとその受容体の変化やエフェクター分子の変化についての解析は終了した。2024年度は、脳内のApelin、Visfatinの各アディポカインとその受容体の変化やエフェクター分子の変化について解析することと、アディポカインを制御する化合物などを慢性脳低灌流状態のモデル動物に投与し、虚血性白質病変に与える影響を検討する。
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