研究課題/領域番号 |
21K07474
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
柳生 一自 北海道大学, 大学病院, 特任助教 (90597791)
|
研究分担者 |
齊藤 卓弥 北海道大学, 大学病院, 特任教授 (20246961)
横澤 宏一 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (20416978)
白石 秀明 北海道大学, 大学病院, 講師 (80374411)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
|
キーワード | 脳磁図 / コミュニケーション / 自閉スペクトラム症 / 統合失調症 / コミュニケーション障害 / ハイパースキャニング |
研究開始時の研究の概要 |
コミュニケーションは特に人類において発達した社会的行動の基礎をなすものであり、日々の営みに欠かせない。コミュニケーションを観察し評価することは、その障害をもつ統合失調症などの精神疾患あるいは自閉スペクトラム症など神経発達症において、特に重要である。そこで私たちは北海道大学にある2台の脳磁計(Magnetoencephalography: MEG)を光ファイバーで接続し、映像・音声での仮想的対面を可能とするDual-MEGシステムを構築し、脳活動を同時記録しコミュニケーションの客観的評価を可能とした。コミュニケーションに障害を持つ疾患の対人的な相互作用の障害機序を明らかにすることを目指す。
|
研究実績の概要 |
北海道大学にある2台の脳磁計(Magnetoencephalography: MEG)を光ファイバーで接続し、映像・音声での仮想的対面を可能とするDual-MEGシステムを構築した。さらによりリアルな対面を行えるようカメラとプロジェクタの視差をなくすハーフミラーを用い正面からの視線合致を可能とした。このDual-MEGシステムを用いて、実対面(相手の映像と実際に対面している状況)、擬対面(録画された相手の映像と対面している状況)とを用いて、被験者に判断させる課題を行った。結果、本人は擬対面だと答えている(実対面には気付いていない)にも関わらず、右下前頭部におけるθ波の活動が、映像が実対面では脱同期、擬対面では過同期をすることを明らかにした。すなわち意識レベルでは相手の存在に気づいていない(非意識)にも関わらず、「相手の存在」を脳内で表象化する機構が同部位に存在することを示した。さらに考察をすすめこの二条件の違いは、他者との無意識の交互作用にあること、そのやりとりはfacial mimicry(表情模倣)にあることを推論した。こうした点は進化学的見地、発達学的見地からも合理的であると考えられ、トップダウンの認知とは別の、ボトムアップによって他者が象徴化される機構を示しているのかもしれない。こうした中前頭回を中心としたこの非意識下における他者存在の象徴化については統計学的な検討を深めた上で、研究成果については現在論文投稿中である。さらに2022年度はこの非意識下の脳活動について被験者が「相手の存在」を意識している条件下で行い、右前頭葉にシータ帯域の活動変化を見出し、現在詳細な解析を進めている。今後さらにコミュニケーションに障害をもつ疾患群での調査を進めていく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究対象として健常者同士によるコミュニケーションモジュールを同定(表情のやりとりなど非言語的なやりとり、言語のやりとりなど)については、進行中であり既に一部は論文化されている。解析方法としては単一被験者の脳活動におけるモジュール同定を目的とした周波数解析と事象関連同期・脱同期の解析および二台の脳磁図を用いた同時計測を行うため熟練した検査者を育成中である。研究協力者などマンパワーを要する課題のため、若干の遅れはあるもののおおむね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
今後2者間コミュニケーション活動、同期性の研究へと進めていくとともに、疾患群に対しての研究を進められるよう倫理委員会の申請を行なっていく。
|