研究課題
基盤研究(C)
本課題では治療抵抗性統合失調症(TRS)患者の病態にオキシトシンやGABA系システムが関与し、これらは通常の統合失調症患者とは異なる神経基盤を有していることを検証することを目的とする。そのためにTRS患者、非TRS患者、健常者から血液試料を採取して、オキシトシンやGABAの血液中濃度測定(生化学的手法)、GABA・オキシトシンシステムの遺伝子多型検索(遺伝子学的手法)、経頭蓋磁気刺激(TMS)装置を用いた皮質静止時間(CSP:中枢GABA信号伝達の間接的指標)の測定(電気生理学的手法)を用いてデータを収集し、解析を実施する。
治療抵抗性統合失調症(TRS)のドパミン信号に関わる分子をコードする遺伝子群の多型関連解析を実施した。SLC6A3遺伝子のrs3456450の分布がTRS群は非TRS/健常者群と異なった。COMT遺伝子の多型と組合せるとTRS群は“低ドパミン”状態の遺伝子型が頻度として高いことを見出した。GABA信号の指標である皮質抑制CSPに関するメタ解析を実施し、clozapineは他の抗精神病薬と異なりCSPを有意に延長させることが示した。TRS患者のサブタイプ(早発型と後発型)別のclozapineの反応性の検証で1年後のCGI-Cで早発型に比し後発型はより大きな反応を示すことを見出しつつある。
TRSに対するclozapineの反応性に関して、ドパミン系信号が関わる可能性、またclozapineがGABA信号を強化させることを示唆する。このことはclozapineの作用機序に関する理解を進めるものである。また臨床的にclozapineは後発型TRSにより効果が期待される可能性がある。後発型TRSの多くはドパミン過感受性との関連が推定されることから、ドパミン過感受性形成状態はclozapineによる反応性と関係することが示唆される。これらは臨床的にclozapineの適応や導入時期の判断に有用となる可能性があると考えられる。
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