研究課題/領域番号 |
21K07480
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
元村 英史 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (10324534)
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研究分担者 |
乾 幸二 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所, 障害システム研究部, 部長 (70262996)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 双極性障害 / 脳磁図 / 神経振動 / 変化関連脳活動 / プレパルス抑制 / 時間周波数解析 / 脳波 / 抑制系 / 聴性定常反応 / 誘発脳活動 / 神経認知 |
研究開始時の研究の概要 |
我々は、脳波や脳磁図で記録される誘発脳活動を用い、感覚情報に対する脳の入力制御を直接的に脳活動の挙動として捉える実験系を確立し、報告してきました。本研究では、変化応答と抑制系を同一実験系で測定し、実データによる興奮性回路と抑制性回路のアンバランス検証から双極性障害の神経認知の解明を目指します。また、突然の音特性変化による聴性定常反応の位相変化も変化応答を示唆することを既に報告しましたが、更にこの機序についての基礎的研究を進め、新たな精神生理学的指標として臨床応用を目指します。
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研究実績の概要 |
本年度は主に以下のふたつの解析を進めた。 1) 一定の刺激頻度でクリック音を呈示すると、その刺激頻度に一致した周波数の神経振動の振幅/power値や施行間一致率は増強するとされる。昨年度に続き、脳磁図を用いた神経振動の基礎的研究を行った。健常者を対象として、40-Hz クリック連発音の音圧を途中でベースラインから増加(+5, +10, +15 dB)、減少(-15, -10, -15 dB)させた逸脱刺激と終始音圧が変化しないコントロール刺激をランダムに呈示し、40-Hz auditory steady state response (ASSR)に対する音圧変化の影響について時間周波数解析を用いて検討した。双極子追跡法により聴覚野に推定された左右一組の40-Hz ASSRの皮質活動は、振幅と施行間位相一致率が、共に一過性の減弱(所謂、脱同期)がみられた。また、音圧の増減に関わらず、これらの減弱の程度は音圧の物理的変化量に依存した。興味深いことに、変化させないコントロール刺激においても振幅と施行間一致率に有意な減弱を認めた。つまり、この40-Hzの脱同期には末梢からの新たな求心性入力ではなく、より高次な情報処理である変化検出の関与が考えられる。40-Hz 神経振動の脱同期を検証することで、新たな視点から精神疾患の情報処理異常に迫れるかもしれない。 2) 前年度に脳磁図を用いて確立したプレパルス抑制、感覚記憶、音圧変化への鋭敏性を評価する音刺激パラダイムを用い、双極性障害群と健常者群に単極うつ病群を加えて脳波測定を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
脳磁図を用いた基礎的研究は順調に進めることができた。また、誘発電位研究は1年間を通して患者群・健常者群ともにデータを収集することができた。しかし、前年度までのコロナ禍の影響のため、患者群ではトータルとしては予定を下回る測定件数にとどまり、R5年度内には成果発表を行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
脳磁図を用いた神経振動研究の成果を論文発表する。コロナ禍の影響のため、当初2年間は患者群での脳波測定が予定通りには進めることができなかったため、縦断的検討は研究期間内においては難しくなった。よって、横断的に単極うつ病エピソードと双極性障害うつ病エピソードにおける神経基盤の異同の検証を中心に、横断的検討から双極性障害の神経基盤に迫ることとする。R6年前半には脳波測定は予定数に到達すると思われ、R6年度後半に解析を行う。また、神経振動からみた変化応答は興味深いものであり、最終年度であるが、各群でのデータ集積・解析を進め、R6年度後半に本研究の総括を行う予定である。
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