研究課題/領域番号 |
21K07496
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
江川 純 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (80648527)
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研究分担者 |
霜田 靖 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (00291154)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 自閉スペクトラム症 / Contactin5 / ハイコンテントスクリーニング / 聴覚過敏 / High Content Screening |
研究開始時の研究の概要 |
自閉スペクトラム症(ASD)患者は聴覚過敏を示す場合が多いが、その病態は不明である。本研究では、有力なASDリスク遺伝子の中で聴覚神経系および機能との関連が最も示唆されている分子Contactin5(CNTN5)に着目する。Cntn5全欠損およびexon4(ヒトでこのexonおよび近傍配列に異常が複数認められている)欠損マウスを用いてCntn5の機能解析をすることにより聴覚過敏の発症メカニズムを解明および治療法の開発をすることを目的とする。
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研究実績の概要 |
Contactin5 (CNTN5)は、聴覚系において脳幹のグルタミン酸作動性ニューロンの発達に関与し、CNTN5 KOマウスで聴覚脳幹反応(ABR)の脳波潜時が延長していた(Toyoshima et al., Dev Biol, 2009) 。また、CNTN5および6の遺伝子変異を持つ自閉スペクトラム症 (Autism Spectrum Disorder; ASD)患者は聴覚過敏を持ち、ABRの脳波潜時の延長を認めた(Mercati et al., Mol Psychiatry, 2016)。CNTN5の全エクソンをカバーするように設計した22個のプライマーを用いて、ASD患者のDNAサンプルのexon sequenceをABI PRISM 3130 x l Genetic Analyzerで行う。ASD群で検出された変異についてTaqman法で健常コントロール群に存在するかを確認して、症例対照で頻度を比較する。それらの変異についてin silico解析でその変異の有害度を推測した。これまでに8個のミスセンス変異が同定された が、そのうち4つ(rs778655565, rs186615197, rs771277271,rs757538847)がin silico解析(PolyPhen-2)によりDamagingと判定された。この4種の変異Cntn5-Fc融合タンパク溶液を作成し、CNTN5-FcとPTPRG(CNTN5と結合することにより神経突起伸長を促進)のcell surface binding assayを実施し、いずれの変異型CNTN5-Fcも野生型と比べてPTPRGとの結合が弱いことを示した。 またASDへの関連が示唆されているMAP4Kの阻害が神経発達に負の影響(神経突起長の減少)を与えるという研究結果をハイコンテントスクリーニングを用いて示し、Mol brain誌に採択された (Lasham et al., 2023)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
能登半島地震の影響で細胞形態計測に使用する自動細胞解析装置に不測の故障が生じたため。
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今後の研究の推進方策 |
CNTN5のエクソンシークエンスにより同定されたミスセンス変異のうち、in silico解析により有害と判定された変異をプラスミドベクターを用いて培養神経細胞に導入して、神経突起長解析では3日間、シナプス解析では2週間、培養したのちに固定して、染色(神経突起マーカー:MAP2、前シナプスマーカー:Synaprophysin1、後シナプスマーカー:SHANK2)、細胞イメージアナライザー(CellInsight CX5)で神経突起長およびシナプス数を自動計測し、コントロールとそれぞれの濃度の平均値をt検定で比較。多重比較の補正(Bonferroni法)を行う。
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