研究課題/領域番号 |
21K07500
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
藤井 久彌子 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (70314151)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 精神疾患合併妊婦 / ハイリスク妊婦 / 抗精神病薬 / 抗うつ薬 / 妊娠糖尿病 / 薬物血中濃度 / 母乳中薬物濃度 / 精神疾患合併 / 妊婦 |
研究開始時の研究の概要 |
周産期は様々な精神的変調をきたす時期であり、妊産婦および児を守る意味において、精神科的介入は重要である。しかし実臨床場面では、精神状態の安定のための薬物療法に対して患者や家族は不安を感じることが多い。母親の精神状態の児への影響もいわれていることから、母親の精神状態の安定も重要である。本研究の目的は、精神疾患合併妊産婦を対象に、児へ影響する因子について明らかにすることで、具体的には、母親の精神状態の評価、向精神薬の血中濃度、母乳中の薬物濃度、それらに影響する分子の遺伝子解析などを行う。これらが明らかとなれば、精神症状を来し易い周産期の女性やその家族に対してより有用な情報提供を行うことができる。
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研究実績の概要 |
妊婦の精神状態に対して適切な介入時期の検討、周産期における原疾患の変動および出生児への介入の必要性から、精神疾患合併妊娠はハイリスク妊娠として認知されており、精神科を併設する総合周産期センターに集約される傾向にある。一方、そこには母体合併症、胎児異常など精神科合併妊娠以外のハイリスク症例も多数紹介される現状がある。総合周産期センターにおいて、精神疾患合併妊娠が他のハイリスク妊娠と比較し何に留意し管理すべきかを検討した。ロジスティック回帰分析によると精神疾患合併では喫煙、妊娠糖尿病が有意に高く児の異常は有意に少なかった。抗精神病薬または抗うつ薬使用でGDMが有意に高かったが、向精神薬使用はそれ以外の今回検討したどの因子とも相関を認めなかった。 また、現在、母乳栄養については科学的および経験的なデータに基づいてその可否が判断されているが、そのデータは限定的である。そのため、向精神薬の血液内および母乳中の薬物濃度を測定した。その1つとしてブロチゾラムについて報告する。対象は妊娠前からブロチゾラムを定期内服する患者1名で血中濃度は5.12ng/mlと治療域に入っていた。しかし母乳からは検出されなかった。今回測定したブロチゾラムに関しては、母乳栄養の可否の判断によく使用されるデータ(Hale’s Medications Mother’s Milk2023)には記載されていない。多くのベンゾジアゼピン系薬剤の添付文書では、ヒト母乳中へ移行し新生児に嗜眠、体重減少等を起こすことがあると記載されている。実際、ブロチゾラムも添付文書上では授乳を避けることと記載されているが、児への影響は少ない可能性が示唆された。今回は1例の報告ではあるが、他の薬剤についても血中濃度、母乳中濃度を測定しているため、今後も継続して症例を増やし複数の向精神薬についても測定し、個人差なども含めて検討していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
薬物血中濃度および母乳中薬物濃度に関する検体の採取は継続しており、濃度測定も継続している。精神疾患合併妊婦での薬物療法を主とした様々な要因の児への影響やハイリスク妊婦としてどのような点に注意が必要かの結果については学術雑誌に投稿ずるべく準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、精神疾患合併妊婦に対しての精神科的治療を継続し、そのうち、精神科薬物療法を受けている症例については、薬物血中濃度および母乳中薬物濃度の測定をおこなっていき、結果としてまとめていきたい。
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