研究課題/領域番号 |
21K07504
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
近藤 毅 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40215455)
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研究分担者 |
座間味 優 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60896570)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 大うつ病性エピソード / 抑うつ性混合状態 / DMX-12 / 自閉スペクトラム症 / 炎症性サイトカイン / 神経栄養因子 / 神経免疫学的指標 / 神経炎症因子 / BDNF / IL-6 / TNF-α / hsCRP / 重症度評価 / 破壊的な感情/行動 / 重症度 / 治療反応 / 神経生理学的指標 |
研究開始時の研究の概要 |
抑うつ性混合状態の重症度を申請者らが策定した評価票により定量化し、神経免疫や神経生理などの生物学的指標との関連を検討することで、本病態の生物学的基盤を明らかにする。また、一般的には不良とされている抑うつ性混合状態に対する治療反応性に対しても、症候学的および生物学的な客観的指標を見出すとともに、良好な治療反応をもたらす薬物因子や生物学的背景を浮き彫りにしていく。最終的には、一定の重症度を持った抑うつ性混合状態の鋭敏な診断法(症候学的定量および生物学的指標)を開発し、実践的な治療戦略をエビデンスを以って策定する。
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研究実績の概要 |
自閉スペクトラム症(ASD)を併存する気分障害における抑うつ性混合状態(DMX)の実態を解明すべく、対象患者182名をASD(36名)、非ASD(146名)の2群に分類し比較検討を行った。我々の開発したDMX-12にて重症度評価されたDMX症状群において、ASD患者はDMX-12の総得点とその下位項目である破壊的感情/行動クラスターで有意に高値を示した(P=0.002)。また、重回帰分析において、ASDはDMX-12の下位項目である破壊的感情/行動のスコアの増加に有意に寄与した(P=0.020)。以上より、ASD併存のうつ病では、破壊的感情/行動を特徴としたDMXを呈しやすく、ASD患者のうつ病治療においては、抑うつの中に潜在する混合状態のリスクに照準を当てた注意深い観察と慎重な治療対応を行う必要性が示唆された(Zamami et al.,2021 Psychiatry Res)。 次に、DMXにおける炎症性マーカー(IL-6,TNF-α,hsCRP)や神経栄養因子(BDNF)の動態の解明のため、136名の大うつ病性エピソードを有する患者を対象に生物学的指標の測定を行った。その結果、DMX陽性群の血清BDNF値は陰性群よりも有意に高く(30.2±7.4 vs. 26.7±7.4 ng/ml, P=0.009)、DMXの中核8症状のスコアとBDNF値の間には有意な正の相関を認めた(r=0.19, P=0.027)。ロジスティック回帰分析においても、BDNF (OR=1.07, 95%CI:1.00-1.14, P=0.045)はDMXの重症度に有意に寄与する重要な因子であった。これらの結果より、一つの仮説として、重度の抑うつ状態下では代償的にBDNFが増加し、結果的にDMX症状群の表現型を生じる可能性が考えられ、DMXが病態的には“再生の過程”であることが示唆された。
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