研究課題/領域番号 |
21K07505
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
松岡 照之 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員講師 (40636544)
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研究分担者 |
西村 伊三男 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員講師 (70362621)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 軽度行動障害 / 認知症初期集中支援チーム / MBI Checklist / 孤独感 / 多職種連携 |
研究開始時の研究の概要 |
認知症初期集中支援チームによるMBIの評価、介入、医療との連携を行う事により、認知症や問題行動の予防効果があるのかどうかを調べる。まずは京都市左京区認知症初期集中支援チームと連携し、多職種連携早期介入モデルの構築を行い、今後、京都府内、全国へと広げていくための礎となるための研究を行う。また、MBIの特徴を調べ、治療の発展につなげる。
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研究実績の概要 |
京都市左京区認知症初期集中支援チームのチーム員である西村伊三男(研究分担者)、川瀬美奈子(研究協力者)とカンファレンスを4回行った。京都市左京区認知症初期集中支援チームからの紹介で、川越病院が診療を担当したケース40件の内、入院に至ったケース20件と、至らず通院だけですんだケース20件の発症からチーム対応までの期間はそれぞれ33.1ヶ月と23.6ヶ月であった。つまり、チーム対応までの期間が短いほど入院に至っていないという結果であり、チームによる早期介入の重要性が示唆された。この結果を令和5年度京都府認知症初期集中支援チーム連絡会・スキルアップ研修にて西村伊三男が講演し、情報共有を行った。 軽度行動障害(MBI)の5つの症状の内、最も頻度の高い感情調節不全と脳萎縮との関係を調べたところ、右縁上回の萎縮と関係していた。縁上回はアルツハイマー型認知症の初期から萎縮が認められる脳領域であり、MBIの感情調節不全は初期のアルツハイマー型認知症を同定するのに有用である可能性が示唆された。 MBIの評価尺度としてMBI Checklist (MBI-C)があるが、その日本語版を作成し、妥当性を検証した。カットオフ値として6.5が用いられているが、日本語版では5.5がMBI同定の感度、特異度が一番高くなっており、6点以上だとMBIの可能性が高いという結果であった。また、MBI-Cを用いてMBIと孤独感との関係を調べたところ、孤独感はMBIと関係しており、特に意欲低下、感情調節不全、幻覚・妄想に関係していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
認知症初期集中支援チームによる軽度行動障害(MBI)の評価に関する調査、認知症初期集中支援チームによる軽度行動障害(MBI)の早期発見の効果に関する研究の研究計画を立て、データ収集を開始しているが、データ収集は進んでいない。その原因の一つとして、認知症初期集中支援チームの介入時には関係性の構築が重要であり、研究の話をするのが困難であることが問題点としてある。そのため、認知症初期集中支援チームで元々収集している情報から報告、解析していく方針とした。 症例報告を過去に行ったが特徴的な症例があれば今後症例報告をして認知症初期集中支援チームの有用性について発信していく予定である。 MBIと孤独感との関係が示唆されたため、孤独感と脳機能の関係について調べて論文作成し、The Journal of Neuropsychiatry and Clinical Neurosciences受理され、令和6年度に掲載予定である。
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今後の研究の推進方策 |
京都市左京区認知症初期集中支援チームと連携をとり、実際の活動を基に初期集中支援チームの有用性や課題などを見つけていく。 現在は、京都市内の認知症初期集中支援チームと連携しながらMBIに関する調査を行ってきたが、今後は舞鶴市の認知症初期集中支援チームとも連携して違う地域の状況や課題などを調べる。 レカネマブが使用可能になり、アルツハイマー型認知症(AD)を早期発見する必要がある。レカネマブを使用するかどうか検討する際に本人に病名告知する問題が生じる。MBIはADの初期症状の可能性があり、MBIの時点での病名告知も重要になってくるかもしれない。そこで、MBIの人の病名告知希望について調べる予定である。 軽度認知障害(MCI)には記憶障害の有無、他の認知機能障害の有無によって4つのタイプに分類される。それぞれのMCIのタイプでMBIの症状が異なる可能性があり、それを調べることでMCIとMBIの組み合わせでどのタイプの認知症に移行しやすいのか予測できるかもしれない。そのため、MCI患者を対象にMCIとMBIのタイプを調べて、どの認知症に移行しやすいのか調べる予定である。
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