研究課題/領域番号 |
21K07508
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
彌富 泰佑 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教(臨床実習)(丙) (80897083)
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研究分担者 |
内田 裕之 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (40327630)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 向精神薬 / 不適切使用 / 気分障害 / 抗うつ薬 / 気分安定薬 / 抗血栓薬 / 鎮痛薬 / 降圧薬 / 向精神薬不適切使用 / 自殺予防 / 認知症 / コホート研究 / ビッグデータ |
研究開始時の研究の概要 |
第一に、向精神薬の不適切使用に関する実態を、本邦において厚生労働省から提供されるレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)の解析により明らかにする。第二に、過量服薬や自殺の転帰と向精神薬の使用に関する関連を、NDBや海外のデータベースから経時的なデータを抽出し、経時的変化を追う解析及び横断面の解析を行い明らかにする。第三に、NDBや海外のデータベースから抗てんかん薬の使用と認知症発症の関連を、向精神薬の処方と診断名等の変遷を縦断的に解析することにより明らかにし、てんかんを有することによる認知症発症のリスクの一端を解明する。
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研究実績の概要 |
向精神薬と身体疾患薬の併用に関する実態把握は十分に行われていなかった。今回、我々は厚生労働省から得たレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)から得た2015年1月における58万1990人のデータにつき、炭酸リチウム服用患者、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)/ セロトニン-ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)服用患者、ミルタザピン服用患者、について各々非服用者を対象に身体疾患薬の処方率の比較をFisher's exact testを用いて行う、等の解析を施行した。その結果、NSAIDs、利尿薬、ACE阻害薬、ARBの処方率は、炭酸リチウム服用患者が非服用患者に比して、有意に低く(18.3%(235人/1284人) VS 31.9%(409人/1284人)、p=7.6×10^(-10))、NSAIDs、抗血栓薬の処方率はSSRI/SNRI服用患者と非服用患者において同等であり(23.1%(3078人/13330人) VS 24.1%(3219人/13330人)、p=0.044)、ワーファリン処方率はミルタザピン服用患者が非服用者に比して有意に低かった(0.78%(18人/2300人) VS 1.65%(38人/2300人)、p=0.01)こと等がわかり、各々の向精神薬服用中患者の相当数が注意喚起を要する身体疾患の薬剤併用を受けている事を明らかにした(上記の解析では、全てBonferroniの補正を行い、p<0.05/3を統計的に有意な差があるものとした。)。精神科医、身体科の医師への服薬併用注意を強く喚起し、薬物治療の安全性を高める上で極めて重要な成果であり、今後もビッグデータから現場の処方実態を捉え直すことが望まれる。なお本研究成果は、7th Congress of AsCNP2021にて口頭発表予定であり、研究期間中に論文投稿を開始している。
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