研究課題/領域番号 |
21K07514
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
秀瀬 真輔 帝京大学, 医学部, 助教 (50832763)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 精神疾患 / 神経ペプチド / 脳脊髄液 / 血漿 |
研究開始時の研究の概要 |
神経ペプチドはニューロンが分泌する神経伝達を媒介するホルモンであり、脳内で痛覚、摂食、生殖など特徴的な生理活性を示すことが知られる。本研究では、多数分子を同時測定できるmultiple immunoassayの手法を用いて、健常者と精神疾患患者の比較的大規模な症例数の脳脊髄液及び血漿中に含まれる複数種の主要な神経ペプチドの定量を行う。そして、得られた神経ペプチドの測定データと主要な精神疾患の診断及び臨床情報との関連を調べて、精神疾患のバイオマーカーとなる分子を探索する。
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研究実績の概要 |
脳脊髄液及び血漿検体を用いてMAGPIXシステムで5種類の神経ペプチド(α-メラニン細胞刺激ホルモン、β-エンドルフィン、ニューロテンシン、オキシトシン、サブスタンスP)測定の条件検討を行った。その結果、脳脊髄液中の濃度はとても低く信頼性の高い測定ができなかったため血漿検体でマルチプレックス・イムノアッセイを実施することにした。統合失調症患者149名、双極性障害患者115名、大うつ病性障害患者186名、健常対照者350名から成る合計800サンプルで血漿中神経ペプチド値の本測定を行った。健常対照者と統合失調症、双極性障害、大うつ病性障害との間で血漿中神経ペプチド値を疾患横断的に比較した。又、血漿中神経ペプチド値と陽性・陰性症状評価尺度、ヤング躁病評価尺度、ハミルトンうつ病評価尺度、統合失調症認知機能簡易評価尺度、及びウエクスラー記憶検査との相関を疾患群毎および健常対照群で調べた。その結果、いずれの神経ペプチドも統合失調症、双極性障害、ないし大うつ病性障害患者で健常対照者と比べて有意差がなかった。又、いずれの神経ペプチドも統合失調症、双極性障害、ないし大うつ病性障害患者の症状や各疾患患者ないし健常対照者の認知機能と有意な相関を示さなかった。これらの結果から、少なくとも今回血漿検体で測定したα-メラニン細胞刺激ホルモン、β-エンドルフィン、ニューロテンシン、オキシトシン、サブスタンスP値が統合失調症、双極性障害、および大うつ病性障害の特性ないし状態マーカー分子としては機能していないことが示唆された。又、脳脊髄液では5種類の神経ペプチドの測定が困難なことが明らかになった。今後は中枢神経系の状態を直接的に可視化できる分子イメージング等の手法によって主要な精神疾患の病態における神経ペプチドの役割についてさらに検討が行われることが期待される。
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