研究課題/領域番号 |
21K07531
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
岡田 尚志郎 愛知医科大学, 医学部, 教授 (40203989)
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研究分担者 |
山口 奈緒子 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (50380324)
呉 ユー秋 愛知医科大学, 医学部, 助教 (40717154)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | トロンボキサンA2 / カテコールアミン / AAV ベクター / ミノサイクリン / SU薬 / ATP感受性K+チャネル / GABA神経細胞 / 視床下部室傍核 / 血中カテコールアミン / プロスタグランジンE2 / 脳内ノルアドレナリン神経系 / ホスホリパーゼC / アドレナリン受容体 / うつ病 / 2型糖尿病 |
研究開始時の研究の概要 |
うつ病の2型糖尿病発症リスクは高く、うつ病患者では脳での糖取り込み能が低下し、ストレスによる交感神経系の活性化を介した血糖値増加によるインスリン分泌亢進が糖尿病発症の契機になるのではないかと推測されている。しかし、ストレスに起因する血糖値増加の脳内機構についての詳細な機序は明らかではない。最近申請者らは、細胞内糖枯渇を惹起する2-デオキシグルコースによる血中アドレナリン増加が、視床下部室傍核おけるトロンボキサンA2産生を介して引き起こされることを見いだした。本研究では、 ストレスに起因する血糖値増加反応における視床下部室傍核のトロンボキサンA2産生を介した脳内機序を解明することを目的とする。
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研究実績の概要 |
当初トロンボキサン合成酵素をノックダウンしたラットを作製する予定であったが、ノックダウン効率の再検討の結果トロンボキサン受容体ノックダウンラット作製に変更した。現在作成したAAVベクターを両側PVNに微量注入し、ノックダウン効率の検討を始めたところである。 まず予備実験として、ミクログリア毒(ミノサイクリン)の脳室内前処置により、NMDA脳室内投与による血中ノルアドレナリンおよびアドレナリン増加が抑制されることが明らかとなった。この実験成績からミノサイクリン脳室内前投与の有効性が確認されたので、2-DG投与による血中カテコールアミン増加に及ぼすミノサイクリンの影響について検討を始めたところである。 上記2つの実験遂行中に脳室内投与したATP感受性K+チャネルの遮断薬であるSU薬(グリベンクラミド)が、血中アドレナリン増加を抑制すること、逆にATP感受性K+チャネルopner(ジアゾキサイド)が血中アドレナリンを増加させること、さらにAMPK刺激薬(A-769662)の脳室内投与が血中アドレナリンを増加させること、ジアゾキサイドおよびA-769662の脳室内投与による血中アドレナリン増加がトロンボキサン受容体遮断薬(SQ29548)の脳室内前投与によっていずれも抑制されることを見出し、第96回日本薬理学会年会(12/2/2022,横浜)にてポスター発表を行なった。先行研究に基けば、ATP感受性K+チャネルを発現する細胞はGABA神経である可能性が高いことから、本研究で明らかにしたいトロンボキサン受容体を発現するpreautonomic neuronを神経支配している可能性も出てきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
AAVベクター作成については標的分子を変更したことにより作成依頼に遅れが出てしまったが、現在4種類のAAVベクターを作成し、ノックダウン効率を検定する作業に入っている。PVNへはAAVベクターをマイクロインジェクションするため、注入がPVNに正確に挿入されたかについての検証を、予備的に脳切片を製作して確認し、正確度を上げるよう実験を重ねている。 先行研究でミクログリアとNMDA受容体との関連が示唆されているところから、脳室内投与したNMDAによる血中カテコールアミン増加の実験系(既報)を用いて、まず予備的に脳室内前投与したミクログリア毒(ミノサイクリン)のNMDAによる血中カテコールアミン増加に及ぼす影響を調べた。至適量を決めるのに時間を要したが、最終的にNMDA脳室内投与による血中ノルアドレナリンおよびアドレナリン増加が抑制されることが明らかとなった。この実験成績をもとに、2-DG投与による血中カテコールアミン増加に及ぼすミノサイクリンの影響について事件を進めている。 上記の過程で脳内ATP感受性K+チャネルがカテコールアミン増加に関与している可能性が示唆されたため、糖尿病治療薬の脳内における作用を探求するために実験をすすめたところ、脳室内投与したATP感受性K+チャネル解放薬(ジアゾキサイド)が血中アドレナリン増加に関与することが明らかとなったが、これらの実験で本務に遅れが出た。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は視床下部室傍核におけるトロンボキサン受容体の発現をmRNAレベル(qPCR法)および蛋白レベル(ウエスタンブロッティング)で解析することである。しかるに、血中アドレナリン増加に関与することが明らかとなったATP感受性K+チャネルはGABA神経に多く発現しているという既報があり、本研究で明らかにしたいトロンボキサン受容体を発現するpreautonomic neuronをGABA神経が神経支配している可能性も出てきた。PVNにおけるGABA神経がpreautonomic neuron同定の新たな指標になると思われる。
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