研究課題/領域番号 |
21K07544
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
鄭 志誠 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (00621575)
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研究分担者 |
藤野 純也 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (90783340)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 注意切替 / 共感 / 柔軟性 / 注意 / 社交不安 / 視点切替 / 側頭頭頂接合部 / 視点 |
研究開始時の研究の概要 |
自閉症スペクトラムや社交不安の先行研究では, 相手の考えを推測する際の認知バイアズや,知覚のバイアス等の報告がある。しかしこれらのバイアズがどの様に影響しあい,柔軟な行動の低下や社交恐怖という心境をもたらすのかについては, 未解明な部分が多い。本研究では, 社交不安や自閉症などにおいて,自己と他者の視点を柔軟に切替える「低次」の注意が, 過度な恐怖や頑固さを低減し,円滑なコミュニケーション等の「高次」な社会適応に不可欠, という仮説のもと, 社交恐怖や行動の柔軟性に関する認知・脳神経メカニズムの解明を心理・行動実験・脳画像解析を用いて進める.
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研究実績の概要 |
今年度は、共感や柔軟さなどの社交性の要素が関与する意思決定の認知メカニズムを、fMRI実験や行動実験、心理検査によって、より詳細に調査した。ここでは、健常群とASD群を対象にし、特に注意や視点の柔軟な切替が社会認知機能に寄与しうるという、従来の仮説を支持する脳活動と行動指標の相関関係を示すデータを得ることができた(Tei et al., 2023 Journal of Psychiatric Research)。そして、これまで我々が注目してきた側頭頭頂接合部(TPJ)の役割にも焦点を当てることができた。具体的には、TPJは柔軟に注意や視点を切り替え、自発的に相手の意図や社会状況を把握し、対人場面の適応行動をサポートする可能性が指摘されてきたが、今回の知覚課題を用いた実験でも、注意の切り替えにTPJや前頭前野が深く関与し、さらに共感や失感情の気質のレベルにも有意に関わる可能性が示された。この結果は、当初から着目していた注意や知覚のバイアスが、高次の柔軟な行動の低下や社交恐怖という心境に寄与しうるという仮説とよく一致している。さらに本年度は、これらの脳活動と社交的気質の関係に関わる知見に基づき、共感や認知の柔軟性に関する書籍の出版も進めた(Tei and Fujino, 2025 IGI Global)。次年度は国際学会での発表を含めた社会発信を行い、これらの知見をさらに進展させ、論文化や書籍化も継続する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データ解析、実験の取りまとめも進み、研究は概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、国際学会での発表や議論などで知見を深めたうえで、データのとりまとめや論文化などもを進める予定である。
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