研究課題/領域番号 |
21K07548
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
文東 美紀 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 准教授 (00597221)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 統合失調症 / 死後脳 / 長鎖RNAシーケンス / トランスポゾン / 死後脳研究 / ロングリードRNA-seq / ヒト死後脳 / 発現解析 / ロングリードシーケンサー / LINE-1 / 統合失調症患者 / 長鎖RNAシーケンシング |
研究開始時の研究の概要 |
近年の次世代シーケンサー技術の発展に伴い、長鎖RNAをそのままシーケンシングすることが可能になりつつある。これまでに我々は、統合失調症患者の神経細胞ゲノムDNAにおいて、レトロトランスポゾン(ゲノム内を動く遺伝子)の一種、LINE-1のコピー数が増幅していること、増幅したLINE-1配列は神経細胞の機能や構造に重要な遺伝子の近傍に挿入されていることを示している。本研究では、統合失調症患者脳由来のRNAを長鎖型シークエンサーで解析することによって、レトロトランスポゾン挿入が遺伝子発現に与える影響を検証する。
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研究実績の概要 |
これまで、統合失調症患者死後脳サンプルを使用したRNA発現解析が数多く報告されているが、それらはマイクロアレイ法や、ショートリードの次世代シーケンサーを使用したRNA-seqがほとんどであるため、RNA内に大規模な構造変異が存在した場合、検出することが困難であった。しかし近年、次世代シーケンサーの技術的発展に伴い、長鎖の核酸のシーケンスデータから、構造変異の探索を行うことも可能になってきている。 これまでに申請者らは、統合失調症患者死後脳を用いた研究により、患者の神経細胞ゲノムにおいて、レトロトランスポゾンの一種であるLINE-1のコピー数が増幅していること、増幅したLINE-1配列は神経細胞の機能や構造を保持するために重要な遺伝子の近傍に挿入されていることを示している。このようなトランスポゾンの新規挿入は、遺伝子のコーディング領域やスプライシング部位に生じているものも存在しており、それらはRNAの構造変異を引き起こしていることが考えられる。本研究では、ヒト脳RNAのPacBioシーケンサーから、LINE-1新規挿入を検出するための技術開発を行った。 統合失調症患者3名分の前頭葉からRNA-seqを行い、今回設定した解析条件を使用して、RNAに挿入された新規LINE-1挿入の検出を探索的に試みた。その結果、神経機能に関与する複数の遺伝子において、LINE-1が挿入された転写産物を認めた。これらの新規挿入は、遺伝子のコーディング領域やスプライシング部位に生じているものも存在すること、これらのRNAの発現量は比較的多いと考えられることから、細胞機能に大きな影響を及ぼす可能性があり、新たな統合失調症発症のメカニズムの解明につながる可能性がある。
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