研究課題/領域番号 |
21K07557
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
|
研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
山本 直樹 国際医療福祉大学, 基礎医学研究センター, 教授 (70312296)
|
研究分担者 |
井上 晃 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 研究員 (50109857)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 核タンパク質 / クロマチン / 統合失調症 / 感情障害 / スプライシング / ミクログリア / 抗核抗体 / 精神病 / RBM10 / nuclear body / Aplysia |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では、細胞核ダイナミクスの視点に立った機能的形態解析を応用して抗核抗体関連精神疾患の分子病態を手がかりとした次世代診断技術開発の臨床応用を目指す。精神症状発現の発症準備性および脆弱性は、神経細胞における転写・スプライシングカップリング制御タンパク質RBM10等の細胞核の機能不全を背景とした神経可塑性の障害であるという仮説に立ち、中枢神経系の細胞核タンパク質抗原の局在あるいはそのnuclear bodyダイナミズム(細胞内変動)、神経生理学的機能の障害(神経可塑性)を検討し、精神疾患の血清診断への応用や細胞核分子病態の解明をはかる。
|
研究実績の概要 |
本研究課題では、細胞核ダイナミクスの視点に立った機能的形態解析を応用して抗核抗体関連精神疾患の分子病態を手がかりとした次世代診断技術開発の臨床応用を目指している。神経系細胞における転写・スプライシングカップリング制御タンパク質RBM10等の細胞核の機能不全を背景とした神経可塑性の障害仮説に基づいて、中枢神経系細胞核タンパク質抗原の局在あるいはそのnuclear bodyダイナミズム(細胞内変動)、神経生理学的機能とその障害を検討し、精神疾患の血清診断への応用や細胞核分子病態を解明することを本研究の到達目標としている。精神疾患の発症準備性および脆弱性に関する自己免疫病態仮説に基づいて細胞核特異抗原タンパク質の局在と機能を解析している。今年度は前年度に引き続き、うつ病・ストレスモデルとして極めて有用なマウス由来ミクログリア系培養BV-2細胞をもちいて、活性化ミクログリアにおけるRBM10サブタイプおよびNF-kB/iNOSの発現の変化および局在についてWestern blotting法および共焦点蛍光顕微鏡を用いた免疫細胞染色法による解析をおこなった。その結果、高グルコース刺激およびLPS刺激によりRBM10タンパク質の発現量および細胞核内局在の特徴的な変化が観察された。また研究分担者である大阪公立大学の井上博士および國本博士らが作成したタモキシフェン誘導性RBM10コンディショナルノックアウトマウスにおける大脳皮質での標的遺伝子のスプライシング変化を次世代シークエンサーを活用したRNA-Seq法により網羅的に分析した。また、神経可塑性モデルとして知られている海産軟体動物腹足類アメフラシ中枢神経系におけるRBM10ホモログの存在についても明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初より計画していた神経化学的および免疫組織学的解析はおおむね順調に進捗し、研究分担者との共同研究もオンライン会議等を活用して綿密に連携をとり、実験試料の共同利用も現時点では予定どおりに進んでいる。ただし、研究開始時に研究代表者が異動したこと、および新型コロナ感染症パンデミックの影響もあり、当初計画していた血清診断法開発をめざした臨床検体の抗核抗体解析についてはやや進捗が遅れているが、現在、優先的に進めて、成果が得られつつある細胞レベルの実験研究結果を踏まえたうえで集約的に進めることとしている。
|
今後の研究の推進方策 |
研究開始後、異なった動物種間の進化遺伝学的解析技術が格段に進歩したことや各種トランスクリプトームデータベースがアップデートされていることから、in silicoの遺伝子情報を本研究課題でも積極的に取り入れて、研究進展を加速できるようにはかっていく。前述のように当初計画していた血清診断法開発をめざした臨床検体の抗核抗体解析については、現在、成果が得られつつある細胞レベルの実験研究結果を踏まえたうえで集約的に進めることとしている。
|