研究課題/領域番号 |
21K07568
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
笹尾 明 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 特定研究員 (30508487)
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研究分担者 |
寺沢 宏明 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 教授 (10300956)
笹尾 亜子 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (80284751)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 炭素13 / 抗体 / 13C-MRI / MRI / アミノ酸 |
研究開始時の研究の概要 |
13C標識物質の使用に際して放射線被曝がなく施設の臨床用MRI装置の利用も期待できるなどの長所を併せ持つ。しかし、13CのMRIはプロトンと比較して信号比は0.16程度と感度の低さが欠点である。これに対して我々は、13Cで標識されたアミノ酸を複数回投与する事で病変部へ13Cを集積させ、それによって13Cの画像化が明瞭に描出できることを明らかにした。本研究では、これまでの方法を発展させ、さらに抗体の集積性に着目して13C標識抗体をトレーサーとした薬剤や腫瘍などの分子イメージングを簡便かつ低侵襲に行うことができる方法論を確立する。
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研究実績の概要 |
抗体への13C標識アミノ酸導入として、1-13Cメチオニンと 2-13Cグリシンを抗体産生細胞であるハイブリドーマ細胞の培養液に添加し、13C標識抗体の作成を施行した。出来上がった抗体を含んだ培養液上清をProtein Aカラムにて精製し、SDS-PAGEにて精製度を確認した。これにより、抗体以外の夾雑物や抗体に取り込まれなかった13C標識アミノ酸を除去された抗体(IgG)を得た。これを凍結乾燥後、重水に溶解しNMR測定を行ったが13Cの信号はほとんどみられなかった。原因としてメチオニンの1位の13Cの信号が感度の低い高周波側に出るためそもそもの信号が弱く、今回の標識位置ではペプチド結合によりタンパク質の表面ではなく内部に埋もれてしまう為、信号減弱が起こっている可能性が考えられた。また、今回用いた細胞培養液は一般的な組成であり、アミノ酸が抗体に取り込まれる時、12Cと13Cのアミノ酸が競合した可能性があった。これらを確認する為、メチオニン・グルタミン・グルタミン酸除去培地にメチル13Cメチオニンと5-13Cグルタミンを添加して再実験を行ったが、NMRでの信号改善はみられなかった。このことからタンパク質内に組み込まれた13C信号低下はペプチド結合からの距離との依存性が低いことが示唆された。そこで、ウシ血清アルブミンに1-ethyl-3-(3-dimethylaminopropyl)carbodiimide hydrochloride+N-hydroxysulfosuccinimideやglutaraldehydeを使用してメチル13Cメチオニンのアミノ基を架橋させることでタンパク質表面に13Cを局在させた。未反応の試薬類を限外ろ過で除去し、凍結乾燥後に重水に溶解した試料をNMR測定したところ、積算時間3分程度で標識したメチル13Cの鋭いピークがみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度まで、試薬の入手困難や感染症蔓延、マシントラブルがあり遅延していたが、状況が改善してきており、研究に進展がみられるようになった。
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今後の研究の推進方策 |
タンパク質への化学的架橋でNMR信号が得られる13C導入が可能となった。このことから、同様の方法で任意抗体への13C導入を試みるが、抗体の抗原との反応性を損なわないようにFc部分への選択的な13C導入も併せて検討する。また、反応の時間短縮や単純化も検討して、MRIによる画像化を実現する。
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