研究課題/領域番号 |
21K07574
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
松本 伸行 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 准教授 (60300951)
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研究分担者 |
鈴木 由美子 上智大学, 理工学部, 准教授 (20295546)
南部 伸孝 上智大学, 理工学部, 教授 (00249955)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 造影剤 |
研究開始時の研究の概要 |
我々は肝細胞特異的受容体によって認識される側鎖を持つ非イオン性ヨード性造影剤を設計した。本研究では、その化学構造と挙動の関係を詳細に検討する。具体的には、我々がこれまでに作成した新規造影剤のリード化合物、そしてそれらを基に最適化した造影剤候補化合物に加え、新たな側鎖をもつ化合物を作成し、側鎖の違いによる化学特性の違いを詳細に検討する。これにより、今後創薬の過程で有害反応が検出された際の解決策立案や、造影剤として生体に投与した際の画像の理解について有用な基礎情報を提供する。
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研究実績の概要 |
本研究では我々が開発している肝腎に系統からの排泄を可能とする新規造影剤の特性を明らかにするため、新たな造影剤候補物質KOG-1の合成に取り組んでいる。これまでに作成したMEG-3およびMEG-4は、ガラクトース残基が3個結合している。これらを合成するため、ガラクトースにリンカーとなるエチレングリコール鎖を導入した後、トリヨードベンゼン部と結合させ、合成していた。エチレングリコール単位を延長したKOG-1の合成において同様の方法を用いたが、ガラクトースのアセチル保護体との結合反応にて、目的の生成物は確認できたものの、非常に低収率であった。そこで経路を変更し、先にトリヨードベンゼンにエチレングリコール鎖を導入した。今後、ガラクトースのアセチル保護体を結合させ、脱アセチル化してKOG-1の合成を完成させる。ガラクトース残基が1個結合したMEG-2についても、同様の改良合成法にて、トリヨードベンゼン部にエチレングリコール鎖を導入した。今後、MEG-4についても同様の経路にて合成を進め、効率化を目指す。 また一方で、KOG-1の水溶液中での分子動力学シミュレーションを行った。3つの側鎖は互いに相互作用することなく、独立して水和を受け、この分子は、固化、沈殿することなく、水に溶解することが分かった。側鎖のエチレングリコール鎖が折りたたまった配座を取ることもあるが、速やかに再度展開・伸長する。さらに、KOG-1のガラストース間の距離の最大値は17オングストローム以上であると見積もられ、15-25オングストロームの距離を持って存在する3つのレセプター結合部位に3つのガラクトース残基がそれぞれ同時に結合可能と予想された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでに合成したMEG-1,MEG-2,MEG-3,MEG-4,RYO-2に加え、KOG-1, PK-1,PK-2の3個の新規化合物を合成する計画を立てていたが、従来の合成方法では収率がひくく、目的化合物が十分に合成できていない。 一方で、分子動力学的シミュレーションは期待通りの結果を得ることができている。
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今後の研究の推進方策 |
KOG-1合成方法の検討過程において、過去に合成したMEGシリーズを含めて高い収率を期待できる経路が見つかったので、新規合成経路の開発を通し、新規造影剤候補物質の合成を進めていく。 また、他の候補物質についても分子動力学的シミュレーションをおこなっていく。
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