研究課題/領域番号 |
21K07576
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
細野 眞 近畿大学, 医学部, 教授 (00281303)
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研究分担者 |
門前 一 近畿大学, 大学病院, 教授 (10611593)
田村 命 近畿大学, 医学部, 研究員 (60810968)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | RI内用療法 / 放射線防護 / 線量評価 / 放射性医薬品 / ラジウム-223 / テチウムオキソドトレオチド(177Lu) / 体内分布データ / 実施指針 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、線量評価に基づくRI内用療法の構築を目指し、放射性医薬品の特性、治療プロトコール、放射線安全の方策などの項目をエビデンスに基づいて網羅的に実施指針に入れるための標準的なテンプレートを開発する。具体的な実施指針としては、1)患者の正常臓器・腫瘍の吸収線量評価、2)患者の組織内での微小線量評価)、3)第3者の被ばくの評価、について標準的な手法の確立について取り組む。研究代表者が本研究を統括したうえで実施指針作成の取りまとめを行い、研究分担者が患者や第3者の放射線計測やシミュレーションなどの検討を担当する。成果として新しいRI内用療法の臨床導入に有用な実施指針の提案を行う。
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研究実績の概要 |
本研究は、腫瘍に対するRI内用療法において線量計測や線量シミュレーションの手法を用いることにより、腫瘍や臓器のマクロな線量評価の手法とミクロな線量評価の手法を開発し、それに基づいてRI内用療法の標準的な実施指針を提案し、RI内用療法の臨床研究への導入を推進することを目的とする。さらにRI内用療法において生じる第3者の被ばくについてもその手法を織り込んだ標準的な実施指針を目指している。さてRI内用療法を新たに開発して臨床に導入するにあたっては放射線安全指針のもとに治療の有効性と安全性を検証することが必要である。新規RI内用療法が次々に開発されている現在、本研究は、正常臓器や病巣の吸収線量の評価に基づいて実施指針を作成するために、標準的なテンプレートを作成する。そのような標準的なテンプレートは同時に治療手法の最適化を図ることにも通じる。そこで線量計算ソフトを導入して体内分布データに基づいて患者の線量計算手法を確立した。またラジウム-223治療を実施した去勢抵抗性前立腺癌骨転移のデータを蓄積し、個別化治療の開発に繋がる因子を解析した。さらにルテチウムオキソドトレオチド(177Lu)を実際に症例において実施し、それによって得られた知見を新規RI内用療法の臨床応用に求められる要件に活用することができた。今後の新しいRI内用療法においては体内分布データの取得手法を開発することと、それに基づいた線量評価を実施するための手法を構築していくことが重要である。本研究の独自性と創造性については本研究で実施している新規核種の線量評価に基づいた手法の検討は、通常の医療施設やアイソトープ研究施設では実施困難であるが、本研究者らが新規核種を使用できる設備を持っていることにより可能である。また臨床医である研究代表者と放射線計測と線量分析を専門とする研究分担者が共同研究することが本研究の特徴である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
線量評価についてIDAC-DoseやOLINDAを用いた手法を検証することができた。また実際のラジウム-223治療、ルテチウムオキソドトレオチド(177Lu)治療において得られた知見を新規RI内用療法の実施指針に活用することができた。
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今後の研究の推進方策 |
RI内用療法が発展し続けている現在、新規手法の開発と臨床応用に際して、放射性医薬品の特性、治療プロトコール、放射線安全などを明示した実施指針が不可欠であり、標準化した実施指針の策定が望まれている。一方、投与量や投与の分割などを腫瘍及び臓器の吸収線量に基づいて決めた治療プロトコールの設定には線量評価手法自体の確立など解決すべき課題が多い。また放射性医薬品を投与された患者は線源となるので第3者(介護者・公衆)の被ばく評価に基づいた退出基準の設定や放射線安全の策定も不可欠である。本研究では、線量計測や線量シミュレーションを用いることにより、患者の腫瘍や臓器のマクロな線量評価と組織レベルのミクロな線量評価を検討、また第3者の被ばく線量の評価を検討して、それらを有機的に結合することにより、新たなRI内用療法の実施指針の標準的なテンプレートを示して臨床導入を推進する。本研究は、線量計算ソフトを導入して体内分布データに基づいてRI内用療法患者の線量計算手法を確立している。その活用に向けて実際の臨床例について、治療用核種の体内分布の画像取得を進めている。ルテチウムオキソドトレオチド(177Lu)を実施した症例のルテチウム-177の体内分布をイメージング手法によって取得して解析に用いる。またラジウム-223治療を実施した去勢抵抗性前立腺癌骨転移のデータを蓄積し、個別化治療の開発に繋がる因子の解析をさらに進める。これらを臨床応用に求められる要件として検証し、それを通じて今後の新しいRI内用療法を実施するにあたって必要な実施指針の標準的なテンプレートを作成していく。
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