研究課題/領域番号 |
21K07593
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大石 直也 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (40526878)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | MRI / 脳 / 深層学習 / マルチタスク / 精神・神経疾患 / 精神疾患 / 神経疾患 |
研究開始時の研究の概要 |
脳MRIは精神・神経疾患の臨床・研究に大きく寄与しており、その応用例として、関心領域同定、疾患の診断などがある。熟練者はこれらの問題を同時かつ相補的に遂行することで精度向上を果たすと考えられるが、従来の機械学習では実現が困難であった。申請者は、2つの問題を同時かつ相補的に学習することで精度向上を図るマルチタスク深層学習の手法を開発・報告した。本研究では、この手法を多種・多次元にわたる脳MRIに発展させるとともに診断等の判断根拠を関心領域同定により向上させる手法開発を行う。さらにこれらを健常者および精神・神経疾患患者の脳MRIに応用し、その有用性を明らかにする。
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研究実績の概要 |
非侵襲的脳画像法の代表である脳MRIは、ハード・ソフトウェアの進歩により精神・神経疾患の臨床・研究に大きく寄与してきた。申請者はこれまでに2つの問題を同時かつ相補的に学習することで精度向上を図るマルチタスク深層学習の手法を開発し、その臨床的有用性を明らかにしてきた。本研究の目的は、MRIの多岐にわたるシーケンス画像および課題に適したマルチタスク深層学習アルゴリズムを開発し、健常者および精神・神経疾患患者に適応することで各タスク精度の向上性を明らかにすることである。 2022年度では、昨年度開発した複数シーケンスのMRI画像(multiple 3D)を組み合わせたマルチタスク深層学習手法を外傷性脳損傷患者に対する検証を新たに実施した。60名の外傷性脳損傷患者に対して、T1強調, T2強調, FLAIR画像を組み合わせることで単一シーケンスと比べて脳損傷領域の同定精度が向上することを検証しえた。さらに、京都大学医学研究科に設置済のMRI装置(7テスラ、Siemens社製)を用いて、京都大学病院精神科の協力の元で健常者64名、うつ病患者30名、外傷性脳損傷20名に対して3次元T1画像、DWI、rs-fMRIなど複数シーケンスのMRIデータを取得した。 また、7T-MRIで得られる構造的情報に関する総説論文(Okada et al., Quantitative Imaging in Medicine and Surgery. 2022)や、深層学習のMRIへの応用に関する総説論文(Oishi N. Denoising with graphics processing units and deep learning in non-invasive medical imaging. Practical inverse problems and their prospects. Mathematics for Industry., in press.)など複数の学術的成果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①多種・多次元の脳MRIに適したマルチタスク深層学習アルゴリズムの開発:複数シーケンスのMRI画像(multiple 3D)を組み合わせたマルチタスク深層学習手法を確立するとともに、複数種類の領域を同定するためのアルゴリズム開発も行い、脳損傷領域の同定に応用するなど当初の計画通りに進展している。 ②健常者による学習アルゴリズムの検証:健常者30名の7テスラMRIデータを新たに収集し、当初の計画通りに進展している。 ③精神・神経疾患患者による学習アルゴリズムの検証:外傷性脳損傷患者10名、うつ病患者25名の7テスラMRIデータを新たに収集し、当初の計画通りに進展している。
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今後の研究の推進方策 |
現時点で、本研究はおおむね順調に進展しているため、2023年度も当初の研究計画に基づいて推進していく。 ①多種・多次元の脳MRIに適したマルチタスク深層学習アルゴリズムの開発:2022年度に開発した手法の検証を継続するとともに、単一スライス(2D)画像のみを与えた場合や、rs-fMRIに基づく4次元データのマルチタスク深層学習系の開発も実施し、これまで収集したデータを用いた検証を行い統括する。 ②健常者による学習アルゴリズムの検証:健常者の7テスラMRIデータを継続して実施するとともに、これらのデータを用いて①で開発したアルゴリズムを検証・統括する。 ③精神・神経疾患患者による学習アルゴリズムの検証:精神・神経疾患患者の7テスラMRIデータを継続して実施するとともに、これらのデータを用いて①で開発したアルゴリズムを検証・統括する。
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