研究課題/領域番号 |
21K07596
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
松崎 秀信 岡山大学, 大学病院, 助教 (70325124)
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研究分担者 |
吉尾 浩太郎 岡山大学, 医歯薬学域, 講師 (70623297)
松崎 久美子 (田中久美子) 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (50550802)
青山 英樹 岡山大学, 大学病院, 副診療放射線技師長 (60769264)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 放射線性う蝕 / 放射線防護剤 / ラジカル / 予防 / 歯面塗布 / エネルギー分散型X線分光法 |
研究開始時の研究の概要 |
放射線性う蝕は、頭頸部癌の放射線治療が誘因となり発生するう蝕で、急速かつ多発性に進行することで、摂食機能を著しく低下させる。また、より重篤な有害事象である放射線性顎骨壊死の発生リスクを上昇させる。放射線性う蝕は、放射線治療によって発生するラジカルを原因とする歯の物性の低下と、その他の環境要因が合わさることで発生する。 本研究では、ラジカルによる歯への有害事象を抑制するため、歯の表層でのみ作用する歯面塗布型の放射線防護剤の開発を目指す。さらに、人での使用に際し要求される安全性確認試験を行い、数年後の臨床試験の実施を目指す。
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研究実績の概要 |
放射線性う蝕の発生誘因の一つである放射線照射による歯の硬組織の損傷に対して、唾液や歯に接する軟組織に含まれる水分、歯の硬組織中に含まれる有機質や水分との相互作用により発生するラジカルを軽減することで放射線性う蝕の予防を企図した研究である。 放射線の照射によって発生するラジカルを抑制する放射線防護物質を照射系に添加することで歯の硬組織損傷を軽減させることを目的としている。使用するヒト抜去歯は、抜去時の患者の年齢、歯種などによってコンディションが異なる。そのため、放射線防護物質を添加したものと添加しないものの評価において、定量化が可能な評価方法を選択する必要がある。これまでの検討では、計画していた色素浸透試験では、放射線照射によって生じる微細な変化を定量的に評価することが難しく、新たな方法を検討する必要が生じた。 そこで、完全埋伏のヒト抜去智歯を使用し、エネルギー分散型X線分光法を用いて、試料に含まれる元素の分析を行った。その結果、歯の領域(歯冠部表層のエナメル質、歯冠部エナメル象牙境のエナメル質、歯頸部表層のエナメル質、歯頸部エナメル象牙境のエナメル質、歯冠部表層の象牙質、歯冠部エナメル象牙境の象牙質、歯頸部表層の象牙質あるいはセメント質、歯頸部エナメル象牙境の象牙質)によって放射線照射群と非照射群でCa/P比、C/Ca比などに違いが生じることが分かった。 現在、これらの結果が歯の硬組織に対してどのような影響を及ぼしているのかを検討するとともに、放射線防護物質の照射系への添加実験を予定している段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
照射実験によって、放射線照射によって歯に損傷が生じることは確認できている。計画していた色素浸透試験では十分な結果が得られなかったため、新たにエネルギー分散型X線分光法を用いた検討を行う必要があった。また、直線加速器の更新によって2台あるリニアックのうち1台の使用ができなかったため、実験に制限が生じたことが影響している。
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今後の研究の推進方策 |
オルトバナジン酸ナトリウム、エダラボン、アミフォスチンなどの放射線防護物質を照射系に添加した実験を行っていく。 また、エネルギー分散型X線分光法で確認された照射による歯の硬組織のCa/P比、C/Ca比の変化がどのような影響を及ぼしているかを確認するため、照射後の試料体へのサーマルサイクル試験を予定している。
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