研究課題/領域番号 |
21K07678
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
米田 哲也 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 准教授 (20305022)
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研究分担者 |
伊賀瀬 圭二 愛媛大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (50346665)
北島 美香 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 教授 (60305018)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | MRI / Vim / STN / DBS / 位相 / 視床 / 視床核 / FUS |
研究開始時の研究の概要 |
パーキンソン病などの特定の難病は、筋肉の震えなどを抑制できない症状が発生し、これを脳内の特定の部位に電極を外科的に埋め込み、電気刺激を与えることで、震えを抑制し日常的な活動を行えるようにする治療法がある。このためには正確な脳部位の特定が必要であるが、これまではMRIやCT画像を参照して、熟練した医師が「カン」に近い方法で、電極を埋める場所を特定してきた。本研究では、この外科的手術(脳深部刺激治療)のためのMRI画像開発を行うこと目的として、開発した技術が脳外科手術の精度を上げることが可能であるかまで評価する研究である。
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研究実績の概要 |
昨年は脳深部刺激治療(DBS)に関わる脳神経核として、描出困難でありながらDBSに重要な役割を果たす視床腹中間核(Vim)を描出検討を行った。本年度は、DBSで最も頻回にターゲットにされ、進行期のパーキンソン病の運動症状の抑制に大きく寄与し、抗パーキンソン薬の投与量減量に寄与する視床下核(STN)の描出を試み、本課題によって達成される技術が、より現実的な臨床利用に近づくように検討を進めた。STNの同定には昨年度使用した位相差強調画像化法による組織強調画像を利用し、STN付近の白質を低信号で描出した。STNに隣接する黒質に比べてSTNは鉄量が少ないことが知られているため、同画像上では高信号に描出され黒質は等信号なる。これらから、STNの同定基準を水平断上で①赤核の外側前方の低信号の神経叢に接しており ②低信号の黒質と平行して ③高信号を呈する領域 とすることで検出を試みた。手動で同定したSTN上に関心領域を設定して体積測定を行ったところ、Zwirnerらの剖検脳検討結果から約38%と小さな値を得た。また、年齢に対して体積変化はなく、男女間で女性が両側で有意に小さいという結果を得た。この結果を受け、検討を進め、小さな体積は組織強調画像によって強調された白質がブルーミング効果によって膨張して表現され、相対的にSTNの体積が小さく評価され、また、高信号と同定した領域自身がやや過小評価されていることも判明した。また、男女間で女性が有意に小さい結果は、Julie-Christine(2005)などの結果を再現している。以上の結果から、本年度で検出した領域はSTNであると考えられ、概ね年度の目的を達成したと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度では臨床データを取得し始めていなくてはならないため、遅れていると判断される。しかしながら、当初予定していなかったSTNの同定を可能にしたため、同区分とした。
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今後の研究の推進方策 |
臨床施設と協議を進めて、年度内に10例以上の臨床例を取得し、本課題が当初めざしていた、DBSに利用可能であるかの評価を行う予定である。年度末の報告のよれば、コロナ禍が明けるにつれて臨床例が増加しており、臨床データを取得可能ではないかと考えている。最終的な技術の精度評価は、本技術が達成したVim, STN描出がDBSにおいて的確に神経核を同定して、臨床症状を抑制出来るかどうかを検討することであるが、患者に施術するためにはリスクが高いため、PADRE画像を3D化して、従来法との制度比較を行うことが考えられる。その他、PADRE画像上で同定された神経核を標準脳にマップして、DK atlas等と比較して精度をDICE評価する予定である。
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