研究課題
基盤研究(C)
巨脳症性疾患の患者さんでは、発達遅滞や、てんかん、脳幹圧迫による突然死、脳腫瘍の合併を認めます。しかし、遺伝子変異のタイプや既存のバイオマーカーでは、合併症の予見は困難です。本研究では、巨脳症性疾患の患者さん及び正常対照者の3D-T1強調画像を、網羅的に構造解析し、巨脳症性疾患の予後予測のための画像バイオマーカーを同定する研究です。さらに本研究で、副次的に創出される日本人小児の脳構造の年齢別基準値と、撮像機種間の補正法は、希少疾患の脳MRI研究の基盤になると期待されます。
巨脳症性疾患の原因は、細胞増殖シグナルの亢進と先天代謝異常に大分される。細胞増殖シグナル(PI3K/AKT経路やヘッジホッグ経路)の亢進による先天異常症候群では、発達遅滞や、てんかん、脳幹圧迫による突然死、脳腫瘍の合併を認める。しかし、遺伝子変異型や既存のバイオマーカーから、合併症を予見する方法は未確立である。本研究では、脳MRIの網羅的形態解析により、装置間バイアスを補正可能な、汎用性の高い小児脳形態の性別・年齢毎の基準値を創出し、巨脳症性疾患の予後に関連する画像バイオマーカーの探索を目指した。日米5施設の多施設共同研究により、6歳以上18歳未満の正常発達児の3D-T1強調画像847画像を集積した。正常対照小児例は、頭痛や発熱の精査で撮影された例を対象とし、発達遅滞やてんかんの合併例は除外した。CIVETのプログラムを用いてVoxel-based morphometryによる脳定量解析で解析した。解析に成功した846画像について、各画像の36領域の脳体積を算出した。これらの正常小児例の脳MRI画像の解析及びHarmonizationの結果を元に、各領域毎の脳容量を分布図を作成し、“小児脳形態の基準値データベース“について作成した。Combat-GAM法を用いてMRI機種の補正係数を用いて、脳の各領域毎の容量をZ-socreで評価し、各疾患毎の脳形態の特徴を明らかにする方法を確立した。巨脳症-毛細血管奇形症候群、Gorlin症候群、Sotos症候群などの巨脳症疾患の脳MRIの評価を行った。また、巨脳症疾患では内分泌的な異常を伴うこともあるため、巨脳症を伴わない小児内分泌疾患(思春期早発症、成長ホルモン欠乏症)についても、同様の手順で解析を行った。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 3件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (10件) (うち招待講演 1件)
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