研究課題/領域番号 |
21K07699
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
余語 克紀 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 助教 (30424823)
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研究分担者 |
歳藤 利行 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (30377965)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 放射線治療 / 超高線量率 / 水の発光 / 高い線量率 / 陽子線治療 / 品質保証 / 高線量率 / 医学物理 / in vivoイメージング |
研究開始時の研究の概要 |
がん放射線治療は高齢化が進むわが国で有効な治療法である。治療では放射線を当てるべき腫瘍と避けるべき正常組織が混在しており、どこにどれだけ当てるかが治療成否のカギとなる。したがって、治療中の放射線が患者にどれだけ当たっているか、つまり照射線量の分布を可視化し、即時に確認する方法が求められる。本研究では、治療中に、放射線誘発の発光から、リアルタイムに(生体の)線量分布を可視化し、線量分布に、治療計画とのずれがないか観測するシステムを開発する。
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研究実績の概要 |
がん放射線治療は高齢化が進むわが国で有効な治療法である。治療では放射線を当てるべき腫瘍と避けるべき正常組織が混在しており、どこにどれだけ当てるかが治療成否のカギとなる。したがって、治療中の放射線が患者にどれだけ当たっているか、つまり照射線量の分布を可視化し、即時に確認する方法があれば有用である。 研究代表者は、10Gy/min 程度の高い線量率の治療用γ線を水に照射した際に生じるチェレンコフ光は発光が強く、線量分布の観測が可能なことを示した。この発光を治療中に観測するためには、1)体内の発光が微弱であること、2)人体は”濁り水”であり、散乱が主体となって減弱することを解決する必要がある。その第一歩として、本研究では、さらに高い線量率のビーム照射による発光の増幅により、患者体内の線量分布を可視化することができないか、明らかにしたい。 本年度は、超高線量率・陽子線治療(FLASH)ビームを水に照射し、発光の基礎特性を調べ、論文として成果発表することを目指した。残念ながら、国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構(QST)のサイクロトロンからの60MeV陽子線を用いた追加実験は、マシントラブルにより行えない状況となった。一方で、名古屋陽子線治療センターの協力を得て、臨床マシン(シンクロトロン)での実験を行うことができた。これにより、QATサイクロトロン(研究用マシン)と違うタイプのFLASHビームに対して実験データを得ることができ、より幅広い議論が可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、生体での発光の観察に向け、 水の発光の追加データを取得し、基礎特性を固めた。従来ビームより、線量率が約1,000倍高い、超高線量率・陽子線治療(FLASH)ビームを照射し、水の発光を観察する実験を追加で行なった。量子科学技術研究開発機構(QST)のAVF-930サイクロトロンの60MeV陽子線にマシントラブルが生じたため、追加実験が行えなかった影響で、研究の進捗にやや遅れが生じた。代わりに、名古屋陽子線治療センターのシンクロトロンからの139.3 MeV陽子線を用いて、線量率を変えて照射実験を行うことができた(従来;0.03 Gy/s、FLASH条件;50-150 Gy/s)。 シンクロトロンからのFLASHビームを照射した水からの発光画像を取得することができた。 サクロトロンのビームと同様に、シンクロトロンFLASHビーム誘発の水の発光画像は、従来のビームよりもはるかに短い露光時間(10倍以上)で、明確に視覚化された。発光輝度と線量率の関係を調べたところ、0.03-150 Gy/sの間では、輝度の差は7%以内であり、有意な線量率依存性は観察されなかった。一方で、シンクロトロンビームの差異は、サイクロトロンビームの差異(5%)に比べ、若干、大きな値となった。これは、入射部での投与線量を同一として比較した場合、シンクロトロンビーム誘発の発光輝度が~1/4倍弱くS/Nが悪いためと考えられた。発光輝度の低下は、シンクロトロンビームの方が、照射野が小さいこと、ブラックピークでの線量が小さいことが原因と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
前年度は、サイクロトロンからの連続ビームに加え、シンクロトロンでの治療用パルスビーム用いてFLASH照射の実験を開始することができた。サイクロトロンビームは、高エネルギービームであり飛程が長く、また、より臨床に近い治療ビームでの測定を行うことができた。水の発光データを固めることができたため、今後は、対象を水から、さらに患者体内に近づけた生体模擬サンプルなどを用いて発光の観察を行う予定である。
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